「空き家バンクってどんなものなんだろう。うちの空き家も活用してもらえるかな……」
と考えている人は多いのではないでしょうか。
空き家バンクとは、市町村にある空き家の情報をまとめて発信するサイトのこと。全国の地方自治体で取り組むところが増えており、自分の空き家を登録する人も多いです。
空き家バンクに登録すると、放置していた空き家を賃貸物件として貸し出すことが可能です。新たな収入源を手に入れたり、トラブルを防ぐことにつながります。
とはいえ、空き家バンクが具体的にどのようなサービスなのか、わかりにくいですよね。
そこで今回は、
・空き家バンクとは
・空き家バンクが設立された理由
・空き家バンクのメリットとデメリット
・地方自治体の事例
・全国の空き家バンク例
・おすすめの空き家バンクサイト
・トラブルを防ぐポイント
・空き家バンクを利用する手続き
を解説します。
今回の記事を参考にしながら、空き家バンクについて知っていきましょう!
空き家バンクとは、自治体の空き家情報をまとめて掲載するサイト
空き家バンクとは、市町村にある空き家の情報をまとめて発信するサイトです。
空き家バンクの仕組みを簡単に伝えると、以下の通りです。
・空き家を持っている人:物件を登録し、借りたい・購入したい人からの連絡を待つ
・空き家を探している人:空き家バンクを通して空き家を購入、もしくは賃貸として借りる
登録・検索は無料であることが多いです。滞在方法などは異なりますが、仕組みはAirbnbに似ていますね。
目的は「地域内・外の交流が盛んになること」。
「地方自治体に定住してもらうための地域活性化」の取り組みの1つであり、主に各地方自治体が提供しています。
地方自治体の他のサイトでは、代表的な空き家バンクとして、一般社団法人移住・交流促進機構「JOIN」(https://www.iju-join.jp/akiyabank/index.html)などがあります。
このように地域活性化に貢献している空き家バンクですが、いったいなぜこのような仕組みが作られたのでしょうか。
次で空き家バンクが作られた理由を詳しく見ていきましょう。
空き家バンクが設立された理由
空き家バンクが設立された理由は、主に以下の3つです。
・移住者を増やし、地域活性化につなげる
・空き家の放置によるトラブルや増税、強制撤去を防ぐ
・SDGsの一環として、持続可能な社会を作る
空き家バンクが全国的にスタートしたきっかけは、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたこと。放置されている空き家への監視の目を厳しくするために、作られました。
そもそも近年、家族スタイルの多様化によって、少人数の核家族が増えています。そのため、親の古い住宅が誰も住んでいないままで放置されていることも。
空き家で誰も住んでいないとはいえ、固定資産税など税金は家族に支払いの義務が発生します。金銭的な負担によって、「もう手放したい……」と感じている人も少なくありません。
そこで空き家を有効活用できるように、空き家バンクが設立されました。
また近年はSDGs(持続可能な開発目標)の一環として、国土交通省など国が中心となって取り組んでいます。
空き家は主に、以下のような形で活用されます。
・移住
・飲食店
・ゲストハウス・民泊施設
空き家が増えている原因について、詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
続いては、空き家バンクに登録するメリットとデメリットを解説します。
空き家バンクを活用するメリット
空き家バンクに登録するメリットは、主に以下の3つです。
・賃貸などで臨時収入が手に入る
・空き家の老朽や手入れ不足によるトラブルを防げる
・助成金や補助金によって空き家を改修できることもある
空き家バンクに登録している空き家は、修理費用として助成金を支給している自治体も多いです。
そのぶん初期費用をおさえて、空き家を低価格で貸し出せる状態にリフォームすることもできるでしょう。
空き家バンクを活用するデメリット
空き家バンクには、以下のデメリットもあります。
・まだまだ利用率が低い
・空き家バンクを利用できる自治体は限られる
・見学や契約など、手続きは自分で担当する
空き家バンクの知名度が低いことから、すべての自治体で利用できるわけではありません。
また自治体が運営しているサイトのため、サポート範囲は空き家情報の掲載まで。やり取りから契約までは、あなたと入居希望者だけで進めます。
ただし一部の地方自治体の空き家バンクは、不動産会社や宅建業者が関わっていることも。心配な場合は第3の業者が関わっているかどうか、あらかじめ確認してみてください。
続いては、空き家バンクの利用状況や実際の自治体の取り組みを見ていきましょう。
空き家バンクに登録されている件数
土地総合研究所の調査によると、それぞれの地域で空き家バンクに登録されている物件の数は以下の通りです。
※データはすべて2017年度のものです。
【売買】
・1〜4件:30.8%
・5〜9件:20.6%
・10〜14件:12.1%
・15〜19%:7.1%
・20〜24件:4.8%
・25〜29件:4.1%
・30件〜:10.6%
【賃貸】
・1〜4件:42.6%
・5〜9件:13.2%
・10〜14件:7.4%
・15〜19%:3.4%
・20〜24件:1.8%
・25〜29件:2.1%
・30件〜:4.2%
データを見ると、それほど多いわけではありません。ただし現在は昔より活用されており、特に賃貸物件になると数が増えやすいようです。
また空き家バンクによる成約件数は、以下の通りです。
・1〜4件:40.6%
・5〜9件:20.3%
・10〜30件:17.0%
・30〜50件:1.5%
・50〜100件:0.3%
【出典】土地総合研究所「空き家バンクの目的・現状・課題」
http://www.lij.jp/news/research_memo/20180501_11.pdf
まだまだ多いわけではありませんが、成約している物件も存在します。1軒ほどであれば、制約する可能性が高いでしょう。
空き家バンクを活用した自治体の事例
自治体の事例として、東京都の奥多摩町を紹介します。
奥多摩では「奥多摩若者用空き家バンク(http://www.town.okutama.tokyo.jp/kurashi/sekatsu/sumai/akiya_bank/index.html)」として空き家バンクのサイトを開設しています。
奥多摩空き家バンクは、利用条件として以下を定めました。
・35歳以下の単身世帯
・45歳以下の夫婦
・50歳以下で中学生以下の子どもがいる世帯
奥多摩の空き家バンクで物件を貸し出した場合、20〜30代の若い世代に貸し出すことになりそうです。
このように全国にある地方自治体は、空き家バンクを提供しています。次で実際の空き家バンクを見ていきましょう。
各地方自治体の空き家バンク一覧
空き家バンクはほぼ全国で展開されています。
今回は代表的な都道府県から、各地方自治体の空き家バンクを紹介しますね。
【東京】
・東京都:東京都住宅政策本部(https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/bank.html)
・奥多摩:奥多摩若者用空き家バンク(http://www.town.okutama.tokyo.jp/kurashi/sekatsu/sumai/akiya_bank/index.html)
【関東】
・神奈川県:かながわ県空き家バンク(http://kanagawa-west-akiyabank.hatomarksite-search.com/)
・埼玉県:埼北空き家バンク(https://akiyabank.saihoku-ijuu.com/)
・千葉県:南房総市空き家バンク(http://www.akiya-navi.com/minamiboso_akiya_bank/)
【中部】
・愛知県:愛知県空き家バンクポータルサイト(https://akiyabk.com/)
・長野県:楽園信州空き家バンク(https://rakuen-akiya.jp/)
・山梨県:空き家バンク〜やまなし田舎暮らし〜(http://yamanashi-takken.or.jp/inaka/)
【関西】
・大阪府:大阪版空き家バンク(http://bank.osaka-sumai-refo.com/)
・京都府:FUKUFUKU LIFE(https://www.welcomeiju.city.fukuchiyama.lg.jp/house/)
・奈良県:鳴らし空き家バンク・奈良町町家バンク(https://naracity-akiyabank.com/)
【中国・四国】
・広島県:ひろしま空き家バンクみんと。(https://minto-hiroshima.jp/)
・香川県:かがわ暮らし(https://www.kagawalife.jp/live/)
自分が住んでいる都道府県の空き家バンクを、1度検索してみてください。
LIFULL HOME’Sが提供する空き家バンク
先ほど、空き家バンクは各地方自治体が提供しているとお伝えしました。ところが、すべての空き家バンクを確認しようと思うと、膨大な時間がかかります。
多くの空き家バンクを確認したいときは、「LIFULL HOME’S」(https://www.homes.co.jp/akiyabank/)がおすすめ。
株式会社LIFULLが全国の地方自治体の空き家バンク情報を集めたサイトで、国土交通省の「全国版 空き家・空き地バンク」のモデル事業にも採用されました。
全国の空き家情報が1つのサイトにまとまっているため、気軽に空き家情報を探すことができます。
また各自治体に加えて、宅建業者も空き家を管理。専門機関が関わっているため、安心できます。
とはいえ、ただ空き家を登録して貸し出すだけでは、スムーズな成約にはつながりにくいまま。
そこで次は、物件を貸し出すときの注意点を詳しく紹介します。
空き家バンクで失敗やトラブルを防ぐポイント
空き家バンクを貸し出すとき、以下のことに注意しましょう。
・物件の情報はできるだけ詳しく記載する
・契約には書類を作成する
・見学はもちろん、可能であれば滞在体験もしてもらう
空き家バンクを通した場合、自分たちでやり取りをします。そのためトラブル防止として、物件の情報を詳しく記載したり、契約に書類を用意したりすることが必要です。
また滞在体験をしてもらうことで、入居してからのイメージ違いを防ぐことも可能。長く、定住してもらえる可能性が高まります。
貸し出すポイントを参考に、空き家バンクへの登録を検討してみてくださいね。
空き家バンクを利用する手続きとは?
最後に、空き家バンクを利用する手続きを紹介します。
【空き家を所有している人】
(1)物件の登録を申し込む
(2)物件の現地調査を受ける
(3)物件の情報を登録する
(4)希望者と見学日程などを調整する
(5)当事者で交渉・契約する
【空き家を探している人】
(1)利用登録を申し込む
(2)物件を探したり、紹介を受けたりする
(3)気になる物件を見学する
(4)所有者と賃貸(購入)について交渉・契約する
登録・検索などは無料のサイトが多いです。
上記を参考にしながら、まずは登録手続きだけでも進めてみてください。
まとめ 空き家バンクを活用して、空き家減少につなげよう
今回は、空き家バンクについて解説しました。
おさらいすると空き家バンクとは、市町村にある空き家の情報をまとめて発信するサイトのこと。
空き家バンクのメリットは、主に以下の3つです。
・賃貸などで臨時収入が手に入る
・空き家の老朽や手入れ不足によるトラブルを防げる
・助成金や補助金によって空き家を改修できることもある
全国の地方自治体が空き家バンクに取り組み始めており、成約数も増えつつあります。
気になる方は今回の記事を参考に、住んでいる地方自治体の空き家バンクを調べてみてくださいね。
また空き家は売買や貸し出しだけでなく、シェアハウスとして貸し出すこともおすすめです。賃貸として貸し出せる上に、家賃が低価格なことから入居者が集まりやすいのです。
シェアハウス運営の仕事について、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。