
「空き家バンクってどんなものなんだろう。うちの空き家も活用してもらえるかな……」
と感じている方は多いのではないでしょうか。
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の貸し出しサービスのことです。所有者が空き家を登録することで、空き家を探している人に貸し出しや売却できるようになります。
空き家バンクに登録することで、固定資産税の負担を減らしたり、物件を有効活用したりすることができます。
とはいえ、具体的にどのようなサービスなのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
・空き家バンクの内容と設立の理由
・空き家バンクに登録するメリットとデメリット
・空き家バンクに関する自治体の取り組み
を解説します。
「いきなり利用はハードルが高い」と感じるかもしれませんが、ざっくりと理解するだけなら難しくありません。
まずは空き家バンクの内容から見ていきましょう!
空き家バンクとは、自治体の空き家情報をまとめて掲載するサイト
空き家バンクとは、市町村にある空き家の情報をインターネット上にまとめて発信するサービスです。
仕組みを簡単に説明すると、以下の通りです。
・空き家を持っている人:サイトに物件を登録して、興味のある人からの連絡を待つ
・空き家を探している人:サイトを通して空き家の購入、もしくは賃貸として借りる
滞在方法などは異なりますが、仕組みはAirbnbのような感じですね。
次は空き家バンクができた理由を見ていきましょう。
空き家バンクが設立された理由
もともと空き家バンクは2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことがきっかけで、全国的にスタートしました。空き家バンクは地域ごとにまとめられているため、それぞれの自治体が主体となって運営しています。
目的はサイトを通して移住希望者を集めて、地域の活性化につなげること。というのも近年は家族スタイルが多様化して少人数になったことで、親の住宅が誰も住んでいないままになっていることが増えていました。
しかし空き家で誰も住んでいないとはいえ、固定資産税など税金は家族が払うことになります。負担に感じることが増え、「もう手放したい……」と感じている人も少なくありません。
そこで空き家を放置しないで有効活用できるように、空き家バンクが設立されました。
空き家が増えている原因について、詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
続いては、空き家バンクに登録するメリットとデメリットを紹介しますね。
空き家バンクを活用するメリット
空き家バンクに登録するメリットは、以下の通りです。
・空き家を貸し出すことで臨時収入を手に入れることができる
・空き家の老朽や手入れ不足による周囲への被害を減らすことができる
・助成金や補助金を活用できることもある
空き家バンクを通して見つけた空き家の修理などについて、助成金を支給している自治体も少なくありません。その場合は結果として、低価格で空き家を手に入れることができます。
空き家バンクを活用するデメリット
空き家バンクには、以下のデメリットもあります。
・まだまだ利用率が低い
・すべての自治体で空き家バンクを利用できるわけではない
・見学や契約など、こまかい手続きは自分で担当する必要がある
知名度が低いことから、すべての自治体で空き家バンクを利用できるわけではありません。
また自治体が運営しているサイトのため、サポート範囲はサイトへの掲載まで。やり取りから契約までは、当人同士ですすめる必要があります。
手間に感じるとき、もしくは住んでいる地域が空き家バンクに対応していない場合は、不動産会社による「空き家活用サービス」がおすすめです。手数料はかかりますが、手続きなどもサポートしてくれるため、手間はかかりません。
気になる方は、不動産会社のサービスも検討してみてください。
続いては、空き家バンクの利用状況や実際の自治体の取り組みを見ていきましょう。
空き家バンクを活用した自治体の取り組み
土地総合研究所の調査によると、それぞれの地域で空き家バンクに登録されている物件の数は以下の通りです。
※データはすべて2017年度のものです。
【売買】
・1〜4件:30.8%
・5〜9件:20.6%
・10〜14件:12.1%
・15〜19%:7.1%
・20〜24件:4.8%
・25〜29件:4.1%
・30件〜:10.6%
【賃貸】
・1〜4件:42.6%
・5〜9件:13.2%
・10〜14件:7.4%
・15〜19%:3.4%
・20〜24件:1.8%
・25〜29件:2.1%
・30件〜:4.2%
データを見ると、それほど多いわけではありません。しかし昔よりは活用されるようになり、特に賃貸物件になると数が増えやすいようです。
また空き家バンクによる成約件数は、以下の通りです。
・1〜4件:40.6%
・5〜9件:20.3%
・10〜30件:17.0%
・30〜50件:1.5%
・50〜100件:0.3%
出典:土地総合研究所「空き家バンクの目的・現状・課題」
http://www.lij.jp/news/research_memo/20180501_11.pdf
まだまだ多いわけではありませんが、成約している物件も少なくありません。
そして実際に自治体を見ると、例えば東京都の奥多摩町では「奥多摩若者用空き家バンク(http://www.town.okutama.tokyo.jp/kurashi/sekatsu/sumai/akiya_bank/index.html)」として空き家バンクのサイトを開設しています。
奥多摩空き家バンクでは、以下を利用条件としています。
・35歳以下の単身世帯
・45歳以下の夫婦
・50歳以下で中学生以下の子どもがいる世帯
奥多摩の空き家バンクで物件を貸し出した場合、基本的に若い世代に貸し出すことになりそうですね。
このように自治体の空き家バンクを通して、地方の空き家問題の解消に近づくことも少なくありません。登録するだけでも、空き家に興味のある人とつながることができます。
とはいえ、ただ空き家を登録して貸し出すだけでは、スムーズな成約にはつながりにくいです。
そこで次は、物件を貸し出すときの注意点を紹介しますね。
空き家バンクを通して物件を貸し出すときのポイント
空き家バンクを貸し出すとき、以下のことに注意してみてください。
・物件の情報はできるだけ詳しく記載する
・契約には書類を作成する
・見学はもちろん、可能であれば滞在体験もしてもらう
自分たちでやり取りすることになるため、トラブルを防ぐことが大切です。物件の情報を詳しく記載したり、契約に書類を用意したりするだけでもトラブル予防になることが欠かせません。
また滞在体験をしてもらうことで、入居してからのイメージ違いを防ぐことができます。
貸し出すポイントを参考に、空き家バンクへの登録を検討してみてくださいね。
まとめ 空き家バンクを活用して、空き家減少につなげよう
今回は空き家バンクについて解説しました。
おさらいすると空き家バンクとは、自治体が用意している空き家を持っている人と探している人をつなぐサービスです。
空き家バンクの活用には、以下のメリットがあります。
・空き家を貸し出すことで臨時収入を手に入れることができる
・空き家の老朽や手入れ不足による周囲への被害を減らすことができる
・助成金や補助金を活用できることもある
また東京都などさまざまなエリアで空き家バンクに取り組みはじめ、成約数も増えつつあります。
気になる方は今回の記事を参考に、自身の地域の空き家バンクも調べてみてくださいね。
また空き家は売買や貸し出しだけでなく、シェアハウスとして貸し出すこともおすすめです。
詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。