シェアハウス運営というと業者が対応するイメージを持つ人は多いのではないでしょうか?
シェアハウスひだまりでは住人の方が管理人を担当することもあり、熊本にある京町もその1つです。
管理人はシェアハウスの雰囲気などを考えることも必要なため、誰でもできる仕事ではありません。また管理人の考え方や理想のハウス像によってシェアハウスの雰囲気が変わることもあります。
そこで今回は、京町で管理人をするAkonさんにインタビューしました。
管理人になったきっかけ、シェアハウス生活の様子、これからハウスをどんな場所にしていきたいのかなど、詳しくお伺いしました。
シェアハウスが気になっている方はもちろん、管理人を考えている方もぜひご一読ください。
→「シェアハウスひだまり京町」の様子はこちらからご覧ください。
シェアハウスひだまり京町の管理人Akonさんはどんな人?
ー自己紹介をお願いいたします。
Akonです。介護士をしながらシェアハウスひだまり京町の管理人をしつつ、InstagramなどのSNSでひだまり京町をPRしています。本名は英子で、SNSではあだ名のAkonを使っています。
ーどうしてあだ名がAkonなんですか?
由来は学生時代に留学していたアメリカでの出来事です。
本名の「英子」をローマ字にすると母音が続くからなのか、海外の人にとっては読みづらく、あいこなど違う名前で呼ばれてしまうことがありました。
そのときに当時流行っていたエイコンというラッパーと同じ読みだと説明すると、分かってくれる人が多かったんです。
ミドルネームというほどではありませんが、FacebookやTwitterはAkonで通しています。もうずっと使っていますね。
学生時代のアメリカ留学と英語教師の仕事
ー学生時代のアメリカ滞在は語学留学ですか?
交換留学のようなものですね。英語を学びたいゆえに留学しないと単位をもらえない学部を選んでいたため、後期丸ごと半年ほど留学して、単位を取って帰国しました。
ーアメリカのどちらに?
カナダとの国境線の下にあるミズーラという街です。
大学生で成り立っている街で、物を落としても絶対に返ってくるほど治安が良く、平和でした。
ミズーラにある国立大学に留学しましたが、寮が9つあるほど大きいところ。寮のすぐ裏が山だったのですが、大雪が降ったりリスや鹿など動物が降りてきたり、のどかな場所での留学生活でした。
ーもともと英語や海外に興味があって、大学も留学が必要な学部に進学したんですね。英語や国際交流には何がきっかけで興味を持ちましたか?
英語の先生になりたいという気持ちからです。
母がもともと英語の教師をしていたことから、私の名前は英語の英に子で、英語に関係のある名前をつけてもらったんです。
私も英語の先生になろうと志し、英語の教員免許を取得できる大学を選びました。留学もできて、大学4年間は全力で楽しみましたね。
その後に教育実習生として2〜3週間ほど教壇に立ったのですが、それだけで現場に立てるのだろうか?と疑問を抱いてしまって。そのため大学院に進学して、2年学んだ後に教員になりました。
ーでは、英語の教員になることが最初の目標だったんですね。
15歳の頃から英語教員になろうと考えていました。でもいまは退職しています。
ー退職はどういう心境の変化だったのでしょうか?今後も英語の仕事をしていくつもりなのか、完全に異業種へシフトチェンジしたのか。
動機はいろいろとありますが、最初は思い切ってシフトチェンジしようという想いからです。
24歳で教員になるまでも塾の講師など人や教育に携わる仕事・アルバイトをして、教員になった後も学内の大きなイベントで司会をするなど気持ちは教員に一直線でした。
でも、立場はずっと非常勤講師だったんです。
楽しかったものの、職員室を出てから担当授業の教室に行くまで、いつもモードを変えていました。
こういう風に話しているときと教室に入った後ではモードが違います。嫌ではなくて、切り替え。
自分がそうしないといけないくらい、モチベーションを保てなくなっていることに気付いてしまいました。
自分の気持ちが追いつかないというのかな。8年働いて、大きなイベントの司会なども任せられていたのに、ポジションや雇用形態が変わらないことがもどかしくて。
人間関係は悪くなく、仕事も生徒も好きでしたが、自分の人生は?と考えたときに非常勤では不安が残ります。例えば、当時の恋人と結婚して子どもを生みたいと考えたときに、非常勤では再就職の保証などがありません。とても怖いと感じました。
何か大きな事件があった訳ではありませんが、それだったら自分の人生を優先しようと。
30歳を超えて最後に働いていた学校で授業から戻ってきたときに潮時かなと感じて、退職を決意しました。
そのときは年末だったため、翌年3月の終業式で退職し、5月からは内定をもらった会社で営業職として働いていました。終業式に退職するまで、誰にも言いませんでした。
いまは営業職の仕事も退職して、介護士として働いています。
ひだまりと出会ったきっかけとシェアハウス生活の様子
ーひだまりを知ったきっかけは何ですか?
ひだまりの一号店となるハウスでハロウィンパーティーが開催されたんです。もう10年前くらい。友達から誘われて、職場から近かったこともあり、行ってみようと思って。そこにひだまりの代表のリンタさんがいました。
実はリンタさんとは大学が一緒で、学部は違うけれど学年が同じなんです。私が学内の国際系のイベントで司会をしていたのですが、リンタさんは私を見かけたことがあると話していました。実際に直接話したのは、当時のハロウィンパーティーが初めてです。
ーもともとシェアハウスについては知っていましたか?
ルームシェアは知っていました。ただ10年前はシェアハウス自体が浸透していない時期で、まだまだ珍しかったんですよね。
リンタさんと琢さんが少しずつ始めると話しているのを聞きながら、熊本は東京などに比べると閉鎖的な一面もあり、どこまで広まるんだろう?という話を一緒にしていた記憶があります。
ーそうなんですね。ではそこからなぜ管理人に挑戦しようと思ったのでしょうか?
リンタさんがTwitterでシェアハウスの管理人を募集するツイートをしていたのを見て、立候補しました。
シェアハウスに住んだことはありませんでしたが、実家を出ようかなと考えていました。ひだまりのサイトを見たときに一番近いのが九品寺でしたが、人数が15人と自分にとっては多くて保留にしていたんです。
その後県内にある他のシェアハウスを見て、場所も価格も調べて考えていたタイミングで管理人募集のツイートを見たため、いまここに住むべきなのかなと。
まずは一度話を聞いてみようと連絡し、管理人に決まりました。
ーでは、シェアハウスに住み始めてからはどうですか?何か印象的な出来事があれば教えてください。
「ただいま」と「おかえり」があることがすごく嬉しいです。
いま一緒に住んでいるシェアメイトがものすごく私のことを慕ってくれるのもあり、仕事で遅く帰ってきたときもご飯を作って待ってくれているんです。
ーシェアハウスならではですね。
そう!「Akonさんおかえり!」と言われるのはうれしいです。
自分がうれしかったのもあり、管理人という形で関わり始めてからは「シェアハウスに住む人がどうやったら居心地が良いと思える空間を提供できるのかな」ということを探求しています。
週明けにも新しい方が入る予定ですが、他のシェアメイトと「次にくるのはどんな人かな?」「一緒に食事できたらいいね」とよく話しています。一人で頑張っても空回りするけれど、他のメンバーも同じ気持ちでいてくれるため、居心地の良さを第一優先として考えていますね。
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シェアハウスに入居してほしいのは芯をしっかり持っている人
ーいま管理人として住み始めて2ヶ月くらいですよね。女性限定ハウスのため女性になるとは思いますが、これからどんな人に入居してほしいですか?
正直に言うと、どんな人でも良い。というのも、シェアハウスのように他人と一緒に共同生活をしようとする人は性格が似ているし、キャラクターや価値観が確立している上に似ている人が集まりやすいと思うんですね。
その中でもある程度のコミュニケーションが取れて、許せるものの範囲が広い人。
同棲や結婚ならある程度の気持ちが入っているため、妥協もしながら一緒に生活できますが、家族でも恋人でもない赤の他人がただ共同生活をするのは難しい。
他人同士の場合はコミュニケーションや許容の気持ちがあった方が、共同生活はスムーズに送れます。
欲を言えば、芯がある人です。頑固という意味ではなく、オリジナリティをちゃんと持っている人。
人間はみんな違うのに一緒に住むと考えると、ワクワクするんです。「どんな人なんだろう」と相手に興味が湧きます。
他人という言葉の響きこそネガティブですが、他人だからこそ自分と違うところが垣間見えて体感できて、スパイスになり、己の価値観の形成にも関与するのかなと。
一人でもそういう人がいれば、芋づる式で同じ性格やタイプの人が集まると考えています。
ー共同生活では、気を使うと思いやりは違っていて、それがすごく重要ですよね。共同生活で気を使いすぎると仲良くなれないし、かえって疲れることもあります。
思いやりの積み重ねですよね。相手が共有のものを使った後にきれいな状態で戻すと次の人が使いやすい。靴がバラバラに置かれていることに気付いて整えたら、誰かが気付く。
そういう思いやりの積み重ねがあると、次は自分がこうしようという想いや行動が増えます。得意・不得意はあるから、自分ができることで思いやりや優しさを渡していけば良いと思います。
いま住んでいる人とは仕事の予定もカップルのようにシェアしていています(笑)。
だから「明日夜勤だよね?ゴミ持って行くね。」と言ってくれることもあり、もらった分だけ返そうという気持ちです。気遣いが増えるほど共同生活は楽しめるものです。
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シェアハウスひだまり京町を帰りたいと思える場所にしたい
ーでは、いま住んでいる京町のシェアハウスをこれからどんな場所にしたいですか?
居心地の良い場所にしたいとは話しましたが、居心地の良さは人それぞれ違います。だから居心地に加えて、帰りたいと思える場所にもしたいですね。
どこのシェアハウスでも言えるかもしれませんが、実家ではない家に帰って「ただいま・おかえり」と言い合えるのはすごいです。そのやり取りがあると、シェアハウスに帰りたいと感じることも増えると思うんです。
例えば住んでいても、酔っ払って帰ってきたときにみんなもう寝ているから迷惑かなと、気を使うこともあります。最低限のマナーを守ることは必要ですが、関係性が良好だと良い意味で気にしなくて良いこともあると思うんですよね。
ただ帰るだけならどこでも一緒なため、その中で自発的に「帰りたい」「行きたい」と思ってもらえるような場所作りは心がけています。
そうして居心地の良い場所になるという、良い循環が生まれてほしいです。
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まとめ シェアハウスを思いやりから居心地の良い、帰りたいと思える場所に
最初に志した英語教員からシフトチェンジし、現在は介護士とシェアハウスの管理人という別の業務に取り組むAkonさん。
思い描いていた未来とは違うものの、大学時代の縁や行動がつながり、現在の生活にたどり着いた印象がありました。
シェアハウスを居心地の良い、帰りたいと思える場所にしたい。芯のある人はきっと居心地が良いと思う。そうやって自分自身やシェアメイトの価値観が形成されると考える観点は、教育に携わった人ならではと感じます。
Akonさんが管理人を務めるひだまり京町がこれからどんなハウスになっていくのか、非常に楽しみなインタビューでした。
ひだまり京町の様子はこちらのInstagramからご覧ください。