「賃貸マンションの退去って、立会いが必要なのかな……」
と引っ越し前に悩む人は多いのではないでしょうか。
賃貸マンションは退去当日、大家さんや不動産会社の立会いのもと、部屋にある傷や汚れのチェックが必要です。立会いによって傷や汚れの責任をハッキリさせておくと、過剰請求などのトラブルを防ぐことができるためです。
チェックシートをもとに部屋の状態をキレイにしておくと、退去費用をおさえることが可能です。
とはいえ、立会いがどのような流れで進むのか、どこをチェックすれば良いのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
・立会いはいつどこで、何をするのか
・立会いに必要なもの
・立会いでよくある3つの疑問
・立会いでのトラブルと対策
・立会いでトラブルを避けるためのチェックシート
を順に紹介します。
今回の記事を参考に、退去前の立会いにそなえて準備を始めましょう!
賃貸マンションの退去の立会いはいつ?どんなことをするの?
退去立会いとは「大家さんや不動産会社に賃貸マンションの部屋の状態をチェックしてもらうこと」です。主に退去する日、部屋を借りている最終日に立会いすることが多いです。
目的は、主に以下の2つ。
・部屋にある傷や汚れ、シミなど責任の所在をハッキリとさせる
・修繕にかかる費用の見積もりを出す
住んでいるうちに、部屋の中が汚れたり傷ついたりすることは多いかと思います。部屋はあくまで借り物のため、汚れや傷は部屋を借りていた私たちに修理の義務があります。
しかし中には、前の住人がつけた傷や汚れも含まれているはず。入居前からあった傷や汚れは、借主に修繕の義務は発生しません。
引っ越し後に責任のない修理費用を請求されない、トラブルにならないためにも、お互いが一緒に部屋の状態をチェックする必要があるのです。
立会いで一緒に確認しておくことで、退去後の過剰請求などトラブルを避けられるでしょう。
賃貸の退去立会いの流れ
賃貸マンションの立会いまで、そして当日の流れは、以下の通りです。
【立会いまでの流れ】
(1)退去を大家さん・不動産会社に連絡する
(2)退去届など書類を用意する
(3)退去日を調整する
(4)荷物の片付けや掃除をする
(5)電気や水道、ガスの転居手続きを済ませておく
(6)退去日までに荷物を運び出しておく
まず立会いの前に、退去日を決めておきましょう。あらかじめ連絡の期限が決められているため、しっかりと確認しておいてください。期限については、この後詳しく解説します。
【立会い当日の流れ】
(1)簡単に掃除しておく
(2)空室になった状態で担当者にチェックしてもらう
(3)気になる傷や汚れがあれば、いつ発生したのか説明する
(4)問題がなければ書類にサインして、鍵を返却する
(5)敷金を清算する
立会いの時間は20〜30分ほど。気になる箇所があれば、もう少し長くなることもあります。
立会いは一見簡単に見えますが、費用などトラブルが起きることが多いです。
そこで次からは、賃貸の退去立会いでよくあるトラブルと対策を見ていきましょう。
賃貸マンションの退去前の立会いトラブル1:高額な修繕費用
退去の立会いでよくあるトラブル1つ目は「傷や汚れの修繕費用として何十万円もの費用を請求されること」です。
立会いで傷や汚れを指摘された場合、入居者が付けたものは自分で負担する必要があります。しかし立会いで請求される修繕費用は、初期費用である「敷金」から負担することが可能です。
敷金を支払っている人は、新たに費用を支払う必要はありません。クリーニング代や修繕費用は3万〜5万円と、敷金内で負担できることが多いためです。
クリーニング代を差し引いてもあまった敷金は、退去するときに返却されます。
退去費用を敷金から負担できること、敷金が返ってくることを知っている人は、多くありません。そのため「追加費用を請求された……でも自分で付けた傷だから仕方ない」と、高額な費用を支払う人がほとんど。
本来なら支払う必要のない修繕費用を、数万〜数十万円支払うことになりかねないのです。
対策:クリーニング代を敷金から支払う
修繕費用の支払いトラブルには、以下の対策がおすすめです。
・立会いの最後に渡される書類は納得するまでサインしない
・修繕費用を請求されたら「敷金から支払います」と主張する
まず立会いで修繕費用を要求されたときは、納得できるまで書類にサインをしないでおきましょう。サイン後はすべてに了承したとみなされ、修繕費用の支払いを断ることが難しいです。
自分で付けた傷や汚れを修繕することになったら、敷金から支払うことを主張してください。先ほどお伝えしたように、基本的にクリーニング代などは敷金からまかなうことができるためです。
修繕費用が敷金より低価格だった場合は、残金が口座にふりこまれます。遅くても1〜2ヶ月以内には振り込まれるため、遅い場合は問い合わせましょう。
ちなみに、日常生活で自然に発生する以下のような傷や汚れは、修繕費用を負担する必要がありません。
・経年劣化による傷や汚れ
・日常生活で自然に発生する傷や汚れ
上記のような傷や汚れは、修繕費用の支払いを断ることも可能です。
傷や汚れの判断基準について、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
賃貸の退去立会いでよくあるトラブル2:家賃の二重支払い
賃貸マンションの退去立会いでよくあるトラブル2つ目は「家賃の二重支払いが発生すること」です。
賃貸マンションの退去連絡は、一般的に「退去日の1〜2ヶ月前まで」がルールといわれています。どの賃貸マンションも退去連絡の時期が決められており、その期限は契約書に書かれていることが多いです。
退去連絡のタイミングが遅くなると、退去してからの家賃の支払いを求められかねません。この場合、「旧居」と「新居」で家賃の二重支払いが発生します。
対策:早めに連絡する
家賃の二重支払いを防ぐためには、「退去の連絡を早めにする」のがおすすめです。
例えば、2ヶ月前に連絡するルールになっている賃貸マンションを3月31日に退去したいとしましょう。その場合、1月31日までには大家さんや不動産会社、管理会社に連絡する必要があります。
3月31日に退去したいのに連絡を2月中旬にした場合、退去日は4月末となってしまいます。この場合、1ヶ月分の余分な家賃が発生するうえに、新居の家賃も発生します。
ムダな支払いを防ぐためにも、早めの連絡を心がけましょう。
賃貸の退去立会い、サインは拒否できる?
ここまで賃貸の退去立会いトラブルを解説しましたが、中には「悪徳な業者に高額費用を請求された」というケースもあるかと思います。
この場合、「サインを拒否すれば支払いを避けられるのでは?」と考える人も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、サインを拒否することは可能です。サインを拒否できるケースは、例えば以下です。
・退去費用が高額すぎる
・もともと存在していた傷や汚れの修繕費用を請求された
業者の中には「サインなしでは退去できない」「サインするまで退去させない」と伝えてくる人も存在します。このような場合、ムリにサインする必要はありません。
納得できないままサインしてしまうと、「支払いを拒否できない」という新たなトラブルが発生するためです。
もっともおすすめなのは「困ったときは弁護士などに相談すると伝えること」。法的機関にしっかり相談することで、トラブルは防ぐことも可能です。
賃貸の退去立会いはなしでも大丈夫?
実際、退去前の立会いを必要としないマンションもあります。しかしどんな賃貸マンションでも、立会いは済ませておくことをおすすめします。
理由は、「立会いで傷や汚れの責任をハッキリとさせる方が、トラブルや過剰請求を防ぐことができるため」。
大家さんなどに「立会いは必要ない」といわれても、「トラブルを防ぐために確認しておきたい」など理由を説明しましょう。
賃貸の退去立会いは代理人でも大丈夫?
基本的に、退去の立会いは本人が担当します。引っ越し当日の立会いが難しい場合、他の日時に調整してもらいましょう。
他の日でも難しい場合のみ、代理人でも受け付けてもらえることがあります。
ただし立会いや鍵の返却、書類の確認など大事な作業も多いため、不動産会社から不安に思われることも。信頼できる人物であることを担当者に伝えると、代理人で受け付けてもらいやすいです。
賃貸マンションの退去の立会いに必要なもの
退去前の立会いは、以下を用意しておきましょう。
・契約書
・ペン
・印鑑
・スマホ
・書類を入れるカバン
・敷金の残金を振り込む口座番号が分かるもの
・部屋の鍵
またスマホに部屋の状態を撮影した写真があるならば、スマホも用意するのがおすすめ。自分が付けていない傷や汚れを指摘されたときに、写真を証拠として提示できるためです。
賃貸の退去立会いでトラブル・過剰請求を防ぐチェックシート
ここまで退去の立会いについて解説しましたが、確認すべきことが多くて面倒に感じるのではないでしょうか。
そこで立会い前、傷や汚れを確認しておきたいところをチェックシートにまとめました。退去前の確認にご活用ください。
(1)壁
油汚れ、カビ、タバコのヤニ汚れなどが付いていないか?
(2)床
物を落として傷が付いていないか?食品によるシミは付いていないか?
(3)網戸の状態
網戸は破れていないか?正常に動くか?
(4)ウォシュレットの動作
ウォシュレットは正常に動作するか?
(5)エアコンの動作
エアコンは正常に動作するか?リモコンを無くしていないか?
(6)換気扇の動作
換気扇は正常に動作するか?汚れやホコリは溜まっていないか?
(7)浴室乾燥機の動作
浴室乾燥機は動作するか?壊れていないか?
(8)部屋のにおい
部屋にタバコや食べ物などの汚れが充満していないか?不快なにおいが残っていないか?
(9)鍵
鍵を返却したか?スペアキーは残していないか?また鍵そのものが破損していないか?
(10)荷物が部屋に残っていないか?
部屋に荷物を残していると、後日処分にかかった費用を請求されます。すべて運び出しておきましょう。
退去前に掃除しておきたい箇所について、詳しくは以下の記事で解説しています。気になる方は、あわせてチェックしてみてください。
まとめ 退去前の立会いにおける注意点を理解して、トラブルを防ごう
今回は、賃貸マンションの退去前に行う立会いについて解説しました。
おさらいすると、立会いは「対象の部屋にある傷や汚れ、シミなど責任をハッキリさせること」、そして「修繕にかかる費用を見積もること」が目的です。
高額な修繕費用を請求されるトラブルもありますが、基本的に「敷金」から支払うことが可能です。
今回解説した注意点やポイントを理解したうえで、立会い当日にそなえましょう。
また今回紹介したもの以外に、賃貸マンションの退去ではさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。