今回はシェアハウス「二俣川」を運営されている石川さんにお話をお伺いしました!
二俣川は横浜市にあるシェアハウスで、オーナーの石川さんはもともと外国人向け賃貸のお仕事をされていた方。そこからシェアハウス運営に興味を持ち、二俣川などのシェアハウスを運営されています。
なぜシェアハウスを始めようと思ったのか?シェアハウスを楽しめるのはどんな人なのか?
じっくりお話をお伺いしました。
シェアハウス「二俣川」のオーナー石川さん。仕事や趣味は?
石川です。東京の町田市育ちで、48になります。主に不動産賃貸業を営んでいます。
少し変わった賃貸で、普通のアパートも扱いながら、シェアハウスや古民家などをマンスリーや時間で貸しています。あとは物件の一部を民泊で貸すなど、さまざまな形で運営していますね。
趣味はテニス。小6からやっていて、いまは週1でテニスコートで楽しんでいます。
ー社会人サークルですか?
「テニスオフ」っていって、テニスをしたい人同士をつなぐプラットフォームがあるんです。
主催者が「何月何日取りました」「レベルはこれくらいです」と投稿すると、レベルの近い、予定の合う人がエントリーして、実際に集まるという流れです。
サークルとまではいきませんが、ゆるい集まりで楽しんでいます。
シェアハウスや不動産賃貸業を始めるきっかけ
ー不動産賃貸業のお仕事は、もともと昔から携わっていたんですか?
もともとは違う仕事をしていました。35歳まではサラリーマンだったんですよ。
ーえー!(笑)そうなんですね!
働いていたのが成熟している産業なので、転職を考えていました。当時は「転職するなら35歳まで」という風習があったので、いまが分岐点だと思ったんです。
また結婚して子どもがいたのですが、子育てしながらもう少し自由に働ける仕事にしよう、そのためにも業種を変えようと考えたときに、不動産賃貸業が浮かびました。
その中でも「将来は日本に来る外国人に貢献したい」という気持ちがあったんです。9ヶ月ほど語学の勉強のためにアメリカに住んでいたことがあり、とても楽しかった。
そして将来は自分が日本に来る人をお世話してあげたいという気持ちがあり、東京の外国人賃貸で働き始めました。
ーなるほど。
そして働いている内に、自分でも物件を持ちたくなったんです。そのときすでに不動産賃貸を始めていたので、そこを担保にお金借りました。
横浜の神奈川区にシェアハウスを購入し、2010年頃に自分でも始めるようになったんです。もう10年ほど前ですね。
ー10年前というと、シェアハウスはもう東京にたくさんありましたか?
ありましたが、いまほど数は多くありません。当時はゲストハウスが少しずつシェアハウスに変わってきた時代。ひつじ不動産などシェアハウス検索サイトも作られて、おしゃれなリノベーションのシェアハウスが出現し始めたときですね。
外国人向け賃貸に2007年頃から関わり始めたのですが、当時はすでに日本で働きたいという外国人や留学生が増えていたんです。マーケットが膨らんできた時代だったんだと思います。ただ、まだ一般化はしていませんでした。
ーシェアハウスを始めるとき、不安はありましたか?
集客できるのかな、お客さんが来るのかなと不安を感じていました。自分で物件を契約して運営することに対して心理的なハードルを感じて、「自分でできるかな」と。
ただ最初の募集は別の会社に頼んでいたおかげで、すぐに埋まりましたね。それが2014年頃です。
またどこかで「若い内に攻めないと」という気持ちがあったんです。守り続けたら生き残ることができるけれど、人生つまらないなとも感じていました。
もちろんリスクは背負いますけど、不安よりもエネルギーやパワーの方が強かったのかもしれません。
シェアハウス運営前と運営後、印象が変わったことは?
ーシェアハウスを実際に初めて、運営前と運営後で印象が変わったことはありますか?
最初はシェアハウスって細かいルールがあるんじゃないかと思っていたんです。外国人賃貸で働いていた経験もあって、共用部がどのようなもので、住人さんがどんな生活をしているのか、だいたいは知っていました。
それがシェアハウスになると、食事の時間が徹底されていたり、門限が決まっていたり。管理人さんが住んで、すべて管理しているようなイメージを抱いていました(笑)。
いまシェアハウスに初めて来る人が、内覧のときに聞かれるようなイメージですね。
でもいざ運営を始めると、お互いの距離感を大切にしながらそれぞれが生活しているのが実際の姿だと感じています。
ールールをしっかり作るのと、ルールがない状態。石川さんはどちらの方が良いと思われますか?
入居者によるところではありますが、最低限のルールはあった方が良いと思います。またそれよりも、お互いコミュニケーションをしっかり取れるかということが大事です。
ー必要最低限のルールは作りつつ、コミュニケーションで最低限解決できることもありますしね。
そうですね。
ルールに対して、外国の方と日本の方で捉え方が違うこともあります。そういう違いは運営する中で理解しながら、やり取りしていくと良いと考えています。
絶対的なルールを作ると、こちらも苦しくなるじゃないですか。ルールとして存在はするけれど、実際の運用では「これが絶対じゃないから」というスタンスが良いのかなと思います。
ー石川さんがシェアハウスを運営する中で大切にしていることはありますか?
いろいろな価値観の人と交わる機会があること。
僕自身もいろいろな人に会えますし、入居者の人も無理にとは言いませんが、普段出会わない人と出会う機会は多いと思います。また一緒に生活するのも魅力であり、大切なことかなと感じますね。
ーシェアハウスだからこそ、できる経験がありますよね。例えば寮や下宿も同じかもしれないけど、学校や会社に属している状態。シェアハウスは本当に年齢や国籍、仕事などバラバラですもんね。
接点のない人が偶然集まる場所なので、おもしろいです。もちろん良いことばっかりではなく、衝突することもありますけどね(笑)。お互い人間なので。それも含めておもしろいです。
シェアハウスをしていて楽しかったことや思い出は?
ーでは、シェアハウスを運営する中で楽しかったこと、思い出はありますか?
住人の方とDIYでシェアハウスを作り上げたことですかね。
実はこの二俣川のシェアハウスは、最初人が集まらなかったんです。この街自体にシェアハウスがなかったので、ラッキーと思って始めたら意外と大変で。
でも最初に来た台湾人の女性が、すごい気に入ってくれて、しばらく彼女1人で生活していたんですよ(笑)。
そうしたらシェアハウスのDIYがまだ終わっていなかったのですが、一緒に作ることもありました。苦肉の策だったんですけど、意外と良い思い出になりました。
ー住んでいる人と一緒に作り上げるのは、とても印象的ですね。
そうですね。あとは近くに住むイタリア人家族のお母さんに、短期滞在してもらったのも思い出です。
旦那さんがイタリア人、奥さんが日本人の夫婦がいて、子どもが生まれたんです。そうしたら「お母さんをイタリアから呼びたいんだけど、家がせまい。だからここにステイさせてくれない?」って言われて。
50代のお母さんだったのですが、1人で日本に来るって。
近くに住んでいることもあって、滞在中はイタリア人の友人が定期的に来てくれながら、彼のお母さんに滞在してもらいました。
ー特に大きな問題はありませんでしたか?
まったくなかったです。3週間ほど滞在していただいたのですが、お母さんご本人も息子さん家族に気を使わず、自分の好きな時間や観光を楽しみながら、好きなときに孫に会いに行ったり、食事に行ったりできる。それが楽しかったみたいですね。
あとはそういう風に短期の旅行者を受け入れていた時期もあるんです。留学生の方がいらっしゃって、気に入ってくれたからか、その人が帰った後に後輩が来る。そのサイクルが3回くらいありました。
いまいるブルガリア人の住人も、最初は民泊で来てくれたんです。民泊として1ヶ月滞在して、その後アパートに住む予定でしたが、最終的にここに住んでくれました(笑)。
シェアハウスを楽しめる人ってどんな人?
ーシェアハウスに合う人、楽しめる人の特徴ってありますか?
ギャップを楽しめる人。
入居する前にイメージしているシェアハウス像があると思いますが、人によって違います。例えば番組の『テラスハウス』を見て来た人もいるかもしれないし、そうじゃない人もいるかもしれない。
実際に入ると、良いことも悪いこともギャップがあります。そのギャップを受け入れられて、想定内と捉えられる人は楽しめると思います。
あとは古い家をリフォームしている物件が多いので、古いゆえの出来事を理解してもらうのが大切かなと。
例えば、古い家だとゴキブリなど虫が出やすいです。
きれいな賃貸マンションに住んでいた人がここに来ると、ゴキブリに驚く。そういう環境の違いに対する理解は必要です。
また違うからといって我慢するのではなく、「こうしたら良いんじゃない?」と主体的にコミュニケーション取ってくれる人が良いのかなと思います。
ー何が起きても受け入れられるような心持ち、大切ですよね。人によってイメージしているものも異なりますから。
そうですね。人と交流したい人もいれば、安いから住む人もいます。
全国にいろいろいろなシェアハウスがありますが、二俣川は特にコンセプトが付けているわけではありません。いろいろな人が来たら良いというスタンスでやっています。
そういう意味でも、ギャップを受け入れられる人は楽しめるはずです。
最後にひと言お願いします!
ーじゃあ最後に、何かひと言あればお願いします!
これからひだまりさんと協力しながらシェアハウスを運営していくのですが、価値観という部分では近いと感じています。
いまはコロナの影響で交流は制限されますが、こういうインタビューや入居者さんのインタビューなどを見て、コミュニケーションを取るのも良いと感じていますね。
二俣川のお家も築40年くらいになりますが、まだまだ全然活用できると思っています。
僕も引き続き、入居者の人と交流していくので、これからもどうぞよろしくお願いします。家も人間も、ともに成長していけるように。
ー石川さん、ありがとうございました!
古民家のシェアハウスで多様な価値観を持った人と生活する
もともと異業種から外国人向け賃貸に転職し、そこからシェアハウス運営を始めた石川さん。
短期滞在の人を受け入れていたこともあり、いろいろな価値観を持つ人と出会う機会があるのは、シェアハウスならではだなと感じました。
また古民家だからこその驚く出来事もありますが、そんな状況も楽しめると、シェアハウス生活自体も毎日ワクワクした気持ちで過ごせそうですね。
二俣川のシェアハウスは、最大6人まで入居できます。石川さんの話を聞いて興味を持った人は、シェアハウスの詳細をチェックしてみてくださいね!