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九州と関東のシェアハウス。シェアハウスひだまり

物件も人も、きっかけ次第で第2の人生を手にできる。熱海で高齢者向けのシェアハウスを運営する理由とやりがいとは?

熱海・星野さんアイキャッチ

日本は少子高齢化が進み、実際に65歳以上の高齢者の数は2022年時点で3,627万人と過去最多を記録しました(※1)。

 

しかし、高齢者が生活しやすい環境は整っているとは言えません。長年勤めた会社を退職して収入の少ない高齢者は賃貸の審査に通らない、そもそも仕事が見つからないなど、課題も多いのが現状です。

 

シェアハウスという選択もありますが、まだまだ20代の若者向け物件が中心。そのような環境を空き家再生と絡めて助けられないかと、高齢者向けシェアハウスを運営する人がいます。

 

高齢者向けシェアハウスの大家・星野さんはもともと横浜出身ですが、副業として始めた物件管理を移住した熱海でもスタート。社会福祉協議会と連携しながら、賃貸の審査が通りにくい高齢者を中心に受け入れています。

 

今回はなぜ高齢者向けのシェアハウスを熱海で始めたのか?高齢者向けシェアハウスだからこその良さやエピソードは?など、いろいろとお話を伺いました。

高齢者向けシェアハウスの運営や空き家再生、地方でのシェアハウス運営に興味がある方は参考にしてみてください。

 

【出典一覧】
※1…総務省統計局「1.高齢者の人口」
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html

 

シェアハウス熱海1

シェアハウス熱海2

シェアハウス熱海3

シェアハウス熱海4

シェアハウス熱海5

 

副業として一棟貸しをスタート。旅行でよく訪れていた熱海を選んだ理由

 

シェアハウス熱海・星野さん1

 

ー自己紹介をお願いします。

 

“naragisann"星野好亨(ほしの よしゆき)です。横浜の出身で、学生時代から社会人になってからもずっと横浜で育ち、生活していました。ゼネコンに就職して途中で大阪に転勤になりましたが、そのあとまた横浜に転属になり、ほとんど横浜で生活していましたね。

 

ただ建築業界は労働条件や環境があまり良いとは言えず、7年ほど勤めたときに体を壊して退職したんです。心機一転、運送関係の営業兼ドライバーに転職して、現在まで20年近く勤めています。

 

とはいえ、運送業界の仕事も腰を痛めるなど負担がないとは言えず、体を壊す可能性があると思いまして。投資のようなことを始めようと考えたときに不動産が浮かび、一棟のアパートを買ったのが大家という仕事の始まりです。

 

ー最初はどこで始めたんですか?

 

“naragisann"千葉です。現在は売却していますが、そこで最終的に利益を得てなんとなく良い感触があったこと、サラリーマンゆえに融資を受けやすいことから、不動産を10年と少し続けています。横浜、川越、船橋、伊東にも1棟アパートを所有しています。

 

ーいまこの物件は静岡県の熱海で運営されていますよね。関東で生活されていた星野さんが熱海で始めたのは何がきっかけだったんですか?

 

“naragisann"もともと熱海は観光客として、よく旅行に来ていました。10回くらいは泊まったかな。

 

熱海は海も山もあって、花火なんかも見れて、人柄も温厚。私はすごく好きなんです。その中で「将来移住したいな」と思っていたところ、6〜7年前に体を壊したことがきっかけで予定より早めに移住しました。

 

そこで物件管理を始めたのは、単純に熱海に恩返しをしたいと考えたから。

 

最初に始めた千葉の不動産はすべて委託で管理会社にお任せしていたため、利益が出るなど結果は残ったものの、正直「自分で何かを成し遂げた」という手応えはありませんでした。だから一度、自主管理という形でやってみたかった。

 

また熱海自体は好きな気持ちから移住しましたが、実際に住んでみると空き家のような埋もれてしまっている建物がいくつかあるんです。うまく活用できれば持ち主さんは喜ぶ。さらに熱海は高齢者が多く、年齢や収入の関係で通常の賃貸物件の審査になかなか通らない人もいます。そうやって家探しで困っている人を受け入れることで、居住支援になる。

 

住む中で地域の課題に気付いて解決できたらという想いが芽生え、その中でこれまでの知見を活かして自主管理という形にチャレンジしてみようと。熱海への地域貢献と自分の挑戦ですね。

 

シェアハウス熱海・星野さん2

 

ーそうだったんですね。熱海に知り合いはいたんですか?

 

“naragisann"いえ、特にいなかったです。自分の家族には「着いてきてくれないか」と話しました。家族は当然悩みましたが、一緒に熱海についてきてくれました。

 

本当にゼロからのスタートでしたが、いろいろなコミュニティに顔を出して知り合いを増やしました。物件の自主管理もリスクがありながら、手探りでなんとか。

 

本業も横浜から熱海に転属できたので、同じ会社でサラリーマンを続けながら不動産の管理業務を行っています。

 

自主管理のほうが入居者一人ひとりに合ったコミュニケーションが取れる

 

シェアハウス熱海星野さん3

 

ー最初、千葉で物件管理の仕事を始めたときに大変なことはありましたか?

 

“naragisann"管理会社が集客も集金なども管理してくれる完全委託の形だったので、正直あまり苦労はありませんでした。当時はまだ知識も経験もなかったから、プロに任せたほうが良いかなと思って。「家賃を滞納されたらどうしよう」とか、本当に不安だらけだったんです(笑)。

 

でもお任せで始めてみると、入居中の困りごとも退去の理由もわからないから手応えがなかった。その点が僕にとっては大きなデメリットでしたね。

 

ーなるほど。星野さんにとっては現在の自主管理のほうが運営しやすいですか?

 

“naragisann"トラブルを予防したりうまく対応したりできるという面で、僕は自主管理のほうが運営しやすいです。

 

共同生活は誰が住んでも、どうしても問題は起きます。月に1回は必ず。

 

管理会社にお任せで普段の状況がわからないとトラブルが発生してから対応を考えることになるし、入居者と普段コミュニケーションを取っていないからベストな対応もなかなか掴めない。

 

対して自主管理だと日々の行動や言動からその人に合ったコミュニケーションの取り方がわかるし、入居者の普段の様子からトラブルを予測・予防することもできるんです。

 

さらにこれまでの管理経験から、知見や対処法も身に付いた。だから熱海の自主管理でトラブルが起きても、「そうきたか」「今回はこう対処しようかな」と落ち着いて適切な対応ができていると感じます。

 

普段はサラリーマンの仕事をしているため、日中の電話に出れないなど、入居者さんに小さな迷惑はかけているかもしれません。ただ、以前よりもトラブルや課題を楽しめるようになりましたね。

 

ーどんな人が住んでいるかもわかるし、一人ひとりに合ったコミュニケーションも取れそうですね。

 

“naragisann"そうですね。みんながコミュニケーションが得意なわけではなく、やり取りが難しい入居者さんがいることもある。ただその人に合った対応をしたり、普段のやり取りから相手が考えていることを汲み取ったりはできる。

 

「こういうことで困っているんだ」とか「ああ、こういう理由で退去するんだな」とかわかるほうが私は精神的に楽です。昭和のやり方かもしれませんが、いちばんスムーズで勉強にもなります。

 

熱海の物件は高齢者が中心!昭和のご近所付き合いのようなアットホームさが良い

 

シェアハウス熱海星野さん4

 

ー熱海の物件に住んでいるのはどんな方が多いですか?

 

“naragisann"先ほども話したように、熱海は高齢者の方が多いことから50〜80代の入居者が中心です。平均年齢は60〜65歳くらいかな。

 

特に私が、社会福祉協議会や不動産業者から紹介していただいた方を受け入れているので、年齢などの理由から賃貸の審査に通らなくて、不動産屋に行くことが嫌になったという方とか(笑)。

 

みなさん個性はありますが、審査に通らないからといって問題があるわけではありません。

 

ー高齢者の受け入れは一般的に難しそう、大変そうといったイメージを持たれますが、受け入れる中で感じる「高齢者向けシェアハウスの良さ」はありますか?

 

“naragisann"アットホームな雰囲気があることかな。最近はどの地域でもどんどんご近所付き合いが減っていったり、アパートで隣に住んでいるのがどんな人なのかわからなかったり、コミュニケーションが減っている印象があります。

 

もちろん防犯面もありますし、絶対にダメとは言いません。個人の好みもありますからね。

でもお互いがわからない関係性より、昭和のようにお互いを知って助け合いながら生活する様子が大家としては楽ですし、うれしいです。

 

先日も入居者の1人が急に体調不良になり、別の方が救急車を呼ぶ場面がありました。緊急事態もみなさんが助け合ってくれるおかげで、乗り切れている。その方は先日退院されて、元気にシェアハウスに戻りました。

 

ー住んでいる人同士で助け合いがあるのは良いですね。

 

“naragisann"はい。コミュニティが得意な方もいれば苦手な方もいるので個人に合わせていますが、基本的にはお互いを気にかけて生活しています。コミュニケーションが苦手な方は私がたまに顔を出して「大丈夫?生きている?」って(笑)。

 

そういう雰囲気や距離感をみんな気に入ってくれているのか、2年半前にスタートして、長い方はもう2年ほど住んでくれていますね。

 

記念写真の裏側。熱海の物件が満室になるまでには多数の苦労があった

 

シェアハウス熱海星野さん5

 

ー以前、住んでいる方との集合写真を見かけました。あれもやっぱり仲が良いから「みんなで写真を撮ろう」と撮影したんですか?

 

“naragisann"あの写真はどちらかというと、自分が声をかけて撮りました。

 

熱海のこの物件を買うとき、ボロボロだったこともあって「絶対にこの物件は買わないほうが良い」といろいろな人から言われたんです。すべての企業さんから言われて、家族にも反対されて(笑)。風呂なし・トイレ共同だからか、不動産屋さんにも「誰か来たら連絡しますね」と軽く流されてしまって。だから「熱海まで来たけれど、本当に大丈夫かな」と、どこか自信を持てないところがありました。

 

でもその中で、社会福祉協議会さんだけは僕の物件再生や居住支援の話を聞いて「すばらしい活動ですね」と言ってくれた。そうして入居先を探している人を紹介してくれて、部屋も少しずつ埋まり始めて、とうとう満室になった時期があったんです。

 

熱海まで来て物件を探して、なんとか入居できる状況にして、実際に住まいに困る入居者さんを受け入れて。私も利益を得るところまでたどり着いて。

 

そのときに「自分の信念は間違っていなかった」と確信を持つと同時に、「やり遂げた!」と思うことができました。そんなことは自分の人生で、50年近く生きている中で初めてだったんです。

 

誰も賛同してくれないことをやり遂げた達成感と、自分に自信を持てた記念。それで入居者の方と写真を撮ってもらいました。

 

シェアハウス熱海星野さん6

 

ー素敵なエピソードですね。写真撮影はみんなすぐに応じてくれたんですか?

 

“naragisann"中には顔出しNGの方もいましたよ。「誰にも干渉されずに、ひっそりと身を潜めて生きていたいんだ」という人。そもそもうちの入居者さんは、決して自ら「写真を撮ってよ」とは言わない(笑)。

 

だから無理強いはしませんでしたが「でも写真だけはできたら撮らせてほしい」と、コロッケを買って配ってお願いして(笑)。配ったら喜んで、一緒に写ってくれました。

 

ーおぉ、うれしいですね。

 

“naragisann"中には「生まれて初めて写真をもらった」という人もいましたね。恵まれた環境ではなく、生きるのが難しい人生だった方。そういう人たちも一緒に笑って写真を撮れた。これはなかなか、世の中捨てたもんじゃないなと。

 

自分が逆に自信をもらったような、そんな大事な経験だったので撮りました。

 

ー良い経験であり、良い関係性ですね。

 

シェアハウスは誠実な方であれば誰でも歓迎

 

シェアハウス熱海星野さん7

 

ーこれからはどんな人に来てほしいですか?

 

“naragisann"ここが良ければ、住みたいという人がいれば誰でも。穏やかに暮らしたいとか、そういう人には良い環境だと思います。

強いて言うなら、意思疎通が取れて誠意がある人かな。常識的な範囲で、誠意が伝わる方であればどなたでも、若い方でも。

 

ー最後に、今後の展望があれば教えてください。

 

“naragisann"熱海でもう1つくらい、物件再生に取り組みたいです。やっぱりもともと、空き家など汚くて活用されていない物件を生まれ変わらせたいという想いがありました。空き家再生には今後も引き続き取り組んでいきたい。

 

野望としては、海沿いにかっこいい一棟を建てること!熱海は海がきれいですから、家から海がドーンと見える2DKのお家なんか良いですね。別荘やリタイア後の居住地として熱海を選ぶ人も多いから、そういうニーズがある方に貸し出してもおもしろいかもしれない。

 

ゆくゆくは海が見える最上階でゆっくりできるような、そんな物件を持てたら最高です。最終的なゴールをモチベーションに、いまは目の前の物件管理に向き合って、着実にステップを踏めたら。

 

そうやっていろいろな物件を管理して、最終的にサラリーマンを辞めて物件の自主管理をメインの仕事にできれば理想かなあ。このあたりを自転車でウロウロまわっているような、そんなおじさんになりたいです(笑)。

 

シェアハウス熱海星野さん8

 

自分を受け入れてくれた熱海で、今度は自分が物件や人が新たな道を歩むサポートを

 

今回は熱海で高齢者向けにシェアハウスを管理している星野さんにインタビューしました。

 

家も人も、一度誰も住まなくなったりどこにも受け入れてもらえなかったりすると、どうしても前向きな気持ちを持つことは難しいです。でも別に、物件や本人に問題があるわけではない。たまたまタイミングや場所が悪かっただけ。

 

そんなときに星野さんのように温かく受け入れてくれる場所があれば、人は何度だってやり直せるし、コミュニケーションの取り方を変えることもできる。その結果、写真をもらうといった人生で初めての経験を得ることもできる。

 

物件も人も何歳になっても新たな道を歩むチャンスはある。そう言ってもらえているようなインタビューでした。

 

星野さん、ありがとうございました!

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