「シェアハウスはいつ頃からあるのかな」
「シェアハウスについて、何となくイメージしにくい」
と考えている人は多いのではないでしょうか。
最近はアパートや賃貸マンションの部屋を借りるのではなく、シェアハウスで暮らす人も増えました。
ただシェアハウスの歴史について、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
シェアハウスはもともと外国人や留学からの帰国者向け賃貸住宅でした。2000年代以降には、ドラマによるブームや不況の影響で、流行に敏感な人がシェアハウス生活を送るようになります。
シェアハウスは歴史の中で低価格の賃貸住宅というイメージから、交流のある温かい場所というイメージに変わっています。
このように歴史を知ると、シェアハウスがどのような場所なのか、イメージしやすくなります。
そこで今回は、シェアハウスの歴史について、
・シェアハウスの始まりは外国人ハウス
・2000年代にドラマでルームシェアが流行
・不況でルームシェアとゲストハウスの利用者が増加
・シェアハウス、ゲストハウス、ルームシェアの違い
・法令違反による規制と緩和
・シェアハウスを利用するときの注意点
の順に解説します。
シェアハウスを安心して利用するためにも歴史をチェックして、正しい知識を身に付けていきましょう。
歴史1:シェアハウスの始まりは外国人ハウス
シェアハウスの歴史は1980〜1990年代にさかのぼります。
当時日本で住居を確保するのが難しかった外国人に対し、借り手がつかない寄宿舎の部屋をレンタルする流れが広まりました。
「ゲストハウス」「外国人ハウス」と呼ばれていた住まいが、現在のシェアハウスの起源です。
歴史2:2000年代にドラマでルームシェアが流行
当時「ゲストハウス」や「外国人ハウス」で生活していた日本人の大部分は、海外留学からの帰国者でした。シェアハウスは外国人と共同生活を送るため、海外で身に付けた語学力をキープするには最適な環境だったのです。
さらに2004年頃、NHKドラマ『ルームシェアの女』がきっかけとなり、ルームシェアが流行しました。
それまでは、海外ドラマでルームシェアの様子を見ても「自分とは無縁の生活」と考える人が多数派。
そんな中、日本のドラマで共同生活の様子が描かれたことで、ルームシェアが日本人にとって親しみやすい存在になったのです。
ドラマのような生活に憧れた人々によって、ルームシェアは一時ブームになりました。
歴史3:不況でルームシェアとゲストハウスの利用者が増加
2008年には世界的な不況の影響により、失業者が増加します。
不況の影響を受けた多数の人々が、経済的な事情によって誰かとルームシェアで暮らすようになりました。
また低価格な宿泊施設だったゲストハウスも、不況によってニーズが高まります。
そんな中、2009年頃から「シェアハウス」という新しい用語が使われ始めたのです。
この時期には倹約を楽しむ人々も増えており、ルームシェアやオフィスシェアなど「シェア文化」が流行し始めていました。
そのような需要もあり、シェアハウスは一般的な暮らし方の1つとなったのです。
歴史4:シェアハウス、ゲストハウス、ルームシェアの違い
「シェアハウス、ゲストハウス、ルームシェアの違いを理解しきれていない……」という人は多いのではないでしょうか。
ここで簡単に、3つの違いを説明します。
・シェアハウス:業者と契約した1つの物件に少人数~大人数で生活する
・ゲストハウス:宿泊施設で予約した個室・相部屋に短期間だけ宿泊する
・ルームシェア:個人同士で契約した1つの部屋に少人数で生活する
厳密には「ゲストハウス」が短期宿泊用の施設であることに対し、「シェアハウス」は長期生活用の賃貸住宅。
というのも、2009年頃に「シェアハウス」という言葉がニュースで登場すると、「ゲストハウス」と混同されるようになりました。
現在でも「シェアハウス」と「ゲストハウス」を同じ意味で使う人を見かけます。
誤解をなくすために「ゲストハウス」から「シェアハウス」に名前を変えた業者もあるほど。現在でも2つの言葉を同じ意味合いで使うメディアなどもあるため、情報収集のときは注意してください。
また「ルームシェア」は、少数でひとつの部屋に住み、その代表となる個人が部屋を賃貸契約します。基本的に友人同士での共同生活を指すと覚えておきましょう。
シェアハウスは基本的に、生活に必要な家具家電や日用品を運営元が用意してくれます。
一方でルームシェアは、必要なものは自分たちで持ち寄ることが特徴。
その分は割り勘とはいえ、シェアハウスよりもコストがかかります。形態としては、一般的な一人暮らしと同じです。
メディアでも混同していることが多いですが、違いを把握しておくと、シェアハウスの実態を正しく知ることができます。
シェアハウスとゲストハウスの違いについて、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
歴史5:法令違反による規制と緩和
現在でこそ人気があるシェアハウスですが、一時期はマイナスイメージが付いたこともあります。
2013年に、インターネットカフェ「マンボー」が運営していたシェアハウスの法令違反が判明したことが代表的な例です。
【参照】生活保護問題対策全国会議「マンボー脱法ハウスへの仮処分の申立と千代田区等への緊急要請」
悪質業者が運営する施設の中には、法律の安全基準を満たしていなくても「シェアハウス」と名乗っているものがあります。さらに火災や震災時の避難対策が行われていない施設や、生活保護費を横取りする貧困ビジネスも存在します。
「マンボー」の物件は消防法などの基準を守っておらず、「脱法ハウス」として摘発されました。
こうしてシェアハウス全体が規制され、敷地や面積など、運営するために必要な多くの条件が付けられることに。
安全に配慮し、正しく運営しているシェアハウスは多くあります。
にもかかわらず、一部の悪質な業者によってシェアハウスへのマイナスイメージが生じてしまい、業界全体が大きなダメージを受けたのです。
優良なシェアハウスの運営者は、イメージ改善のため努力し、正しく運営を続けました。結果的に政府は、シェアハウスへの規制を少しずつゆるめるようになります。
これまでの規制が緩和され、以下の条件でもシェアハウスを運営できるようになりました。
・幅員50センチ以上の屋外通路があれば、窓先の空地がなくてもよい
・廊下の幅員は制限なし
・道路に接した敷地に建ててもよい
・遮音用の間仕切壁はなくてもよい
上記のような緩和条件によって、より多くの建物がシェアハウスとして運営できるようになったのです。
【参照】東京都都市整備局「東京都建築安全条例の見直しの考え方」p5
正しく運営してきたシェアハウス関係者の努力で、今ではまたシェアハウスの人気が高まっています。
シェアハウスを選ぶときは、法律を守って運営されている物件かどうか、しっかり確認することが大切ですね。
歴史から考えるシェアハウスを利用するときの注意点
現在シェアハウスは人気を取り戻し、ジムやシアタールームが付いた物件など、多様なものが増えてきました。
多くのシェアハウスがあって選択肢も増えた分、安全な施設を選ぶのが難しくなっているのも事実。安全なシェアハウスを見極めるには、シェアハウスの歴史を勉強しながら、正しい知識を参考に選ぶことが大切です。
違法なシェアハウスには、主に以下の特徴があります。
・運営元が物件の見学を拒否する
・運営元の対応が雑に感じる
・家賃が安すぎる
・部屋に窓がなく、火災のときに逃げ道を確保できない
・一戸建てだった住宅の部屋を適当に仕切っている
・カギが簡易的で盗難に入られやすい
違法なシェアハウスは、運営元が見学を断ることが多いです。違法であることを認知しているからこそ対応が雑で、中身の事前確認さえ阻止しようとすることもあるようです。
中にはもともと倉庫や一戸建てだった建物を適当に仕切り、共同住宅用の部屋と偽っている物件もあります。
これでは部屋に窓がなく、火事になったときは逃げ切れません。
部屋も簡易的なカギしか用意されていなければ、盗難のリスクもあります。
違法なシェアハウスには、非常事態はもちろん、日常生活を送るうえでも危険が潜んでいるのです。
そのため安全なシェアハウスの特徴を把握して、怪しい物件に騙されないようにすることが重要です。
安全なシェアハウスには、次のような特徴があります。
・運営元がしっかりしており、見学の要望に快く対応してくれる
・見学やホームページの写真で物件を確認できる
・「深夜に洗濯機を使用するのは禁止」など常識的なルールがある
・清掃や管理が行き届いている
・火災や震災時に逃げ道を確保できる
シェアハウスを選ぶときには特に運営元を重視し、やり取りがスムーズかチェックしましょう。
優良な業者なら快く物件の見学要望に応じ、質問にも答えてくれるため、安心して任せられるはず。
部屋の内部や環境が安全か、あらかじめ確認させてくれる運営元を選ぶことが大切です。
まとめ:時代とともに発展してきたシェアハウス。正しく安全に利用しよう
シェアハウスは、レンタル事業やシェアリングサービスの発展とともに成長してきました。
歴史をあらためて確認しておくと、次の通りです。
・外国人ハウスを起源としてシェアハウスが誕生する
・悪質な業者の法令違反による規制と緩和を経験する
・優良業者の努力でシェアハウスの人気が高まる
上記の流れでシェアハウスは発展してきました。
歴史を参考にしながら、脱法ハウスの特徴もしっかり把握しておきましょう。そうすることで、安全で楽しいシェアハウス生活を送れます。
歴史に関する知識を武器に、安全なシェアハウスを探してみてください。
またシェアハウス探しでは、運営会社のランキングが参考になることもあります。人気のある会社はそれだけ多くの人に利用されているため、信ぴょう性があります。
ランキングについて、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。