今回の東日本の旅で運営歴が1番長いシェアハウスである富山県富山市にある“シェアライフ富山”。
不動産会社に勤めながら、現在6棟のシェアハウスを運営しつつ、なんとプロのキックボクサーでもあるバイタリティーに溢れる姫野泰尚さん。(写真:右)
なぜ姫野さんはシェアハウスを始められたんですか?
2年間のオーストラリア生活をシェアハウスで暮らし、富山に帰り実家に住んでいたんです。一人暮らしを始めようかなと思って、楽しくて家賃が浮けばいいなーという最初は軽いノリでシェアハウスをやることになりました。シェアハウスの経営をやるんだ!という感じではなかったです。
たまたま空き家の話がきて、住人を募集してみたら評判が良くてすぐにシェアハウス生活が始まりました。
シェアメイトとご飯食べたり、気の合う仲間とワイワイ楽しいみたいな感じで2年半くらいのほほんとしていました。
反響は続き、ずっと満室満室で断っていたので2軒目を増やしてみて、その後1年おきに1棟ずつ増えていきました。
苦労したことはありましたか?
もちろんそれは常々なんですけど、シェアハウスをやっていくと入居してみたものの共同生活になじめない人は当然出てくる。
これはどうしても仕方がないことだと思っています。
ただ、自分はシェアハウスが楽しくてやっているので伝わらない、伝えられないことがもどかしくもありました。
でもその経験が、今のスタンス、どこのシェアハウスもそうだとおもうけれど「入りやすくて出やすい。」ってのはとてもいいことだと思う。
合わない人は少なからずいるんだろうけど、興味を持って問い合わせてくれたっていうことは紛れもない事実。
それだけでありがたいです。だから、お試しでもいいんで、はいってみたらって言うこともあります。
ただやっぱり、合わない人は引きこもりになっちゃう、リビングを通らずに部屋にこもっちゃうんですよね。
廊下を通る音だけがしたりね。
もともとあまりコミュニケーションが得意ではなくて、それを払拭したいというチャレンジ精神ではいってきてくれた。
ダメだったらダメで、その時は管理者としてこっちから言わなければいけないことはありますね。
偉そうなことは言えないですけど、その子もこの時の経験がいつか役に立てばいいなと思っています。
海外でシェアハウス生活されたということなんですけど、日本とはどう違うのでしょうか?
海外はオーストラリアのメルボルンにいたんですが、こっちでいう1ルームのことをスタジオタイプって言います。
住もうとすると週で300ドルくらいお金がかかっちゃうんですよね、日本円にして2万5千円程度。
高すぎますよね、生活するためにシェアしているんです。むしろ、そういう生活をしないと生きていけない。
富山であれば3万円あれば1ルームに1ヶ月住めます、シェアハウスにも住めます。
でもシェアに興味持ってくれる人に来て欲しいわけじゃないですか。
なので、富山でシェアハウスに住むって娯楽に近いものだと思うんです。
日本でシェアハウスって云うと、プライバシーの問題というものが出てきます。
みんなで1軒屋で暮らしてるのに、そりゃ隣からはちょっと音くらいしますよ、プライバシーを気にするってどうなんだろうってたまに思う時はあったりしますね。
しかし、せっかく興味持ってきてくれた人がいるのだから、その敷居を低くしてあげることがぼくの仕事だと思っています。
不動産会社で働かれてたことは役に立っていますか?
シェアハウスだけ経営してる人よりも断然役立つことは多いと思います。
周りの市場の状況もわかっていないといけない、例えば家賃相場。
これだけお金かけて作ったから1ルームいくらいくらで貸しますってひとがいたりするけど、探している人たちの懐の財布の中身の家賃相場は全く違っています。
不動産に勤めているとそこの値段設定を提供できるというところが強みですね、またニーズのヒアリングができたり、投資家たちの失敗談成功談も聞くことが出来ます。
シェアハウスのいいところはどんなところですか?
単純に楽しい、こんなにシェアハウスの認知度が上がってきたとはいえ、毎晩パーティ、食事はみんなでいいよねって周りから言われたりするけれど、社会人なんで仕事が終わってしたいことして帰ると時間は21時〜22時、お風呂はいったりいろいろしてると11時〜12時になっちゃうって感じですよね。
4〜5人のシェアハウスなんで、リビングにいる人と顔をあわせるのは、その時間お酒飲みながら、TV観ながら1〜2人と顔を合わせれたらいいかなってくらいなんです。
でも、それが毎日の日課、毎日の楽しみになりえる。
1日疲れて帰ってきて、誰とも喋りたくないって時もあるけど、シャワーも浴びて、パジャマも着て、寝るだけだみたいなラフな状態で、缶ビールあけながら、たわいもない話を「会社でさー、、、」「今後⚪︎⚪︎挑戦してみたいんだよねー」なんて寝る前に30分でも1時間でもそういう話し相手がいることってすごく楽しいことだと思うんです。
毎日がパーティじゃないけど、寝る前のちょっとした時間、話し相手がいる時間、ほんの少しずつの時間かもしれないけどそこがシェアハウスの一番の醍醐味でもあるし、魅力だと思います。
運営をする上で大事にしていることはなんですか?
入居者をちゃんと選ぶことは必要だと思います。
シェアハウスに興味があって、コミュニケーション求めてはいってきてくれたのに、あれ、全然違うじゃんていう風にならないように心がけています。
今後チャレンジしていきたいことはありますか?
「もっと家増やしていきたいんか?」ってよく言われます。
でも、ぼくの目的は家を増やすんじゃなくて、シェアハウスを増やしたいんじゃなくて、シェアメイトを増やしたい。
シェアメイトの輪が広がれば、また箱を増やそうかみたいな。
チャレンジしていきたいことじゃないかもしれないですけどw
最後に一言お願いします。
サッカーが好きな人は、サッカーサークルに入ります。
不動産が好きな人は、不動産会社に入ります。
大人になると大体同じような方向性を持った人と交わることになる、特に社会に出るとほとんどのひとが同じ会社の人と多くの時間を過ごします。
シェアハウスに住んでみると、ジャズピアニストがいたり、プロ格闘家がいたり、プロのアイスホッケー選手がいたり、よさこいやってるひとがいたり。
それで、みんなで会場に観に行こうってなったりして。
自分が意図してない世界にいきなり飛び込めたりする、やってみたい、やれそうな気がする、やってみたらそこで人生が変わるかもしれない。
シェアハウスはそういうきっかけになると思います。
ほんとうに心からシェアハウスをというより、シェアメイトを好きなんだなーと垣間見ることができた姫野さん。
このあたたかいコミュニティがどんどん広がっていくこともわかります。
“シェアメイトが増えたから、シェアハウスを増やすんだよ。”の言葉はとても心に刺さりました。
理想としているシェアハウス像がここにはあります。