
「シェアハウスに住んでみたい」
「でも、知らない人との共同生活って不安。馴染めるかな……」
初めてのシェアハウス生活では、このように不安を抱く人が多いのではないでしょうか?
熊本にあるひだまりのシェアハウス「琴平」でシェアホストを務めるタカノさんも、「シェアハウスが気になる」で止まっていた一人でした。
しかし、「毎日会社に行って同じ場所に帰って同じ人に会う、そんな単調な日常を変えたい」という思いから、初めてのシェアハウス入居とシェアホストに挑戦。
入居後は想像以上に絡みすぎず、かといって放置し合う訳でもない心地良い「適度な距離感」での共同生活や、初めて知る入居者の意外な一面がおもしろかったのだとか。そのシェアハウス生活の感想や、学生時代に挑戦した日本一周のエピソードなどをお伺いしました。
行動力と好奇心で新たな一歩を踏み出したタカノさんの体験談は、「新しいことをやってみたい」「でも……」と迷う人の背中を押してくれるはずです。
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会計系の事務職として働くタカノさん。「人のために」が大事な価値観
ー自己紹介をお願いします。
:タカノマナカと申します。普段は会計の事務職をしています。趣味は映画鑑賞やサウナ、音楽を聴くことです。
ー映画と音楽、良いですね。どういったジャンルを聴くんですか?
:音楽はラップが好きです。最近はZORN(ゾーン)やKID FRESINO(キッドフレシノ)なんかをよく聴きますね。他にもRADWIMPSとか、カネコアヤノとかも好きです。このアーティストが好き! というよりは、曲を気に入って聴くことが多いです。
映画は最後に視聴者にゆだねる形というか、考察の余韻がある作品が好きなんですよね。最近だと、『怪物』や『PERFECT DAYS』なんかを観ました。
ー良いですね。会計の事務職をされているのは、何かきっかけがあったんですか?
:もともと税理士を目指していたんです。それで会計に関する仕事がしたいなと考えていたところ、現在の勤め先にお声がけいただき、働き始めました。
ー税理士……! どうして税理士を?
:税理士になることが目標というよりは、「日本を支えている経営者の役に立ちたい」という気持ちが発端です。その手段として税理士を目指していました。
ーなるほど。では、大学時代もそういう税や会計に関する勉強をしていたんですか?
:大学では法律全般を専攻していました。最初は公務員を目指していたんです。
ーそうなんですか?
:税理士自体に興味があったというよりは「人のために生きたほうが良いよね」という家庭の教えが強くて。そういうポジティブな心意気を持つ家族なので、その考え方が私にも染み付いているというか。
そう考えたときに、公務員は公の利益のために働く仕事。売上を目標に事業を展開する一般企業と違って、国民のためという広い範囲で「人の役に立つ」仕事なのかなあと。それが割と家庭の教えにも合っているのかなと感じて、最初は公務員を志望していました。
ーなるほど。
:その勉強の一つとして法学部を選んだのですが、大学で経済の授業も受けてみたら、意外とおもしろくて。「法律もおもしろいけれど、経済はもっとおもしろい」と感じ、そこから公務員以外の仕事にも興味を持ち始めました。
「人のために」という考えの元、身近なところで職業を考えたときに、税理士や会計の仕事は経営者の方をサポートする仕事だし、それが回り回って人の役に立つかなと感じ、現在の仕事を選びました。
ーご家族の教えが強く、ベースとしてあるんですね。
:そうですね。教えられたというよりは、家族としては「そのほうが人生がより良くなるんじゃない?」という感じでよく話していて。だからなのか、自分の中でその価値観がすごく大事なものとして残っていますね。
ー素敵ですね。
:実行するのはなかなか難しいですが、今後も大切な価値観として大きく持ち続けたいです。
現在は熊本・琴平のシェアホスト。社会人になってから、同じ日常が続くのが怖かった
ー今回、シェアホストして熊本にあるひだまりのシェアハウス「琴平」に住まれていますが、シェアハウスの入居は今回が初めてですよね。
:初めてです。自分にとって、新しい挑戦ですね。
ーどうしてシェアハウスに住もうと思ったんですか?
:もともと大学時代に興味を持って、「やりたいことリスト」の中に漠然と入っていたんです。なんかおもしろそうだな、と思って。そういうことができるのは割とフットワークが軽い大学生の間かなと思い、一度入居を考えました。
ーそのときは入らず、社会人のいま初めて入居したんですよね。
:今回あらためて住んでみようと思った一番の理由が、「このまま同じ日常が続くのは怖いな」と感じたこと。
ー怖い?
:いま、会社に勤め出してちょうど一年が過ぎたくらい。今後もたぶん、このまま毎日会社に行って同じ場所に帰って、同じ人とばかり出会うんだろうなと感じて。それを変えたいと思ったんですよね。
ーなるほど。一人暮らしだと生活は単調になりがちですよね。その中で入居するだけでなく、シェアホストになったのは?
:家事ですね。食事の用意以外の家事は嫌いではなかったので、その好き・得意を活かせる点が良いなと思いました。恩恵として、家賃も浮きますし(笑)。
「この単調な生活を変えたい」「自分の得意なことを活かせそう」。この2つが大きな理由ですね。
やりたいことをやる! 大学を休学して、日本一周バイク旅に挑戦した思い出
ーシェアホストへの挑戦も含めて、タカノさんは結構アクティブに、やりたいことに挑戦する性格という印象があります。確か、留学もされていますよね。
:アメリカに留学していました。一か月程度の、ほとんど旅行みたいな留学ですが……。あと、日本一周もしました。
ー日本一周ですか?! アクティブ(笑)
:そうですね(笑) バイクで回りました。
ーすごいですね……! 日本一周はどういう経緯で?
:まず、高校生の頃から留学というものをしてみたいと考えていたんです。「知らない世界を知りたい」「この世界は丸くて、たくさんの国がある中で、それを知らないまま死んでいくのは嫌だな」と、単純にやってみたいという願望があったんです。
ーうんうん。
:だから当初は長期留学を考えていましたが、大学時代がちょうどコロナ禍で、自分の行きたいタイミングで海外渡航ができなかったんです。
ーそうだったんですね。あの頃は、行きたくても行けないですよね。
:でも、海外に行くつもりで、すでに一年の休学を決めていて……。コロナが蔓延し始めた直後は、休学開始の4月から9月頃まで様子を見て、9月頃から出国できそうであれば半年だけでも海外に行こうと考えていました。
でも、その秋までの時間も休学しているから何の予定もなくて。時間もあるし、せっかくだから海外に行く前に日本のことを知れたら良いなと思い、日本を回ることにしたんです。
日本を回ることも夢ではあったし、「今しかない」と感じて決意しました。
ーバイクにしたのはどうして?
:車で回るのは容易過ぎる。でも、自転車だと半年という自分が決めた期間の中で一周し切れるイメージが湧かなくて。時間・計画的に厳しいと感じ、少しハードだけれど走行距離を伸ばせるバイクが浮かびました。単純に乗りたいという興味もありましたね。
ー確かに、車ほど簡単ではないし、かといって自転車ほどハードでもないですね。ルートはどんな順番で回ったんですか?
:南から北に上がっていく形です。まず九州発として、7日間で九州を一周し、その後実家のある大分県に一度戻って。そこから本州の山口県に行って、海岸線沿いをずっと上がって行きました。京都とか秋田とか、そこまでバイクでガーッと走り続ける感じですね。
ー日本海側に沿って上って行く感じですね。
:そうですね。最終的に青森県までひたすら上りました。
ーすごいな。道中、宿泊などはどうしていたんですか?
:基本は無料のキャンプ場を利用していました。これまで特にキャンパーという訳ではなかったのですが、日本一周のためにテントやシュラフ(寝袋)を初めて買って、持って行ったんです。それでキャンプ場で寝泊まりしながら、青森県まで走りました。
ーすごいですね。旅中は、観光もしたんですか? それとも、ただひたすら走るのみ?
:元々一つだけ、「世界遺産を回ろう」という目的だけ決めて旅していたんです。日本にある世界遺産を見たくて、行きたいところや寄れそうなところには途中で寄って、観光していました。
ーなるほど。限られた期間の中で、行きたいところには寄って。
:そうですね。コロナ禍というのもあって空いていない観光地もあったり、人も少なかったりして、全部に行けた訳ではないのですが……。
でも、行きたい観光地は訪れることができたので満足です。
北海道・利尻島で住み込みアルバイト。シェアハウスのような島民との距離感
ー青森県の後は北海道にも行ったんですか?
:行きました。なんなら、滞在期間は北海道が一番長いくらい。旅自体は合計3〜4か月ほどしましたが、その内の一か月は北海道にいました。
ー長い! 一か月も何していたんですか?
:お金がなくなったので、利尻島というところで「働かせてください」とお願いして、短期のアルバイトをしていました。
ーまじですか……!
:テント泊で多少お金は浮いていたし、テント以外にも友人がいる地域では泊めてもらったりして凌いでいたのですが、利尻島にいた頃に「このままだとやばいな」という状態まできてしまって。でも、北海道だったら漁業関係の短期の住み込みアルバイトの受け入れ体制も整っているかなと思って、探してみたんです。
ー行動力がすごい。すぐに見つかったんですか?
:いえ、最初は仲介会社に聞いてみたのですが、タイミング的に「今の時期はあまりないですよ」と言われてしまって。そこで、自分でGoogleマップから猟師さんがいるところや漁業組合があるところを探して、直接聞きに行きました。
ーすご!(笑)
:そうして聞いていたら「来週から来ていいよ」と言ってくれた猟師さんがいて、その翌週から働いていましたね。
ー漁師の仕事をしたんですか?
:私は猟師さんが漁で獲ってきたものの仕分けですね。ウニを選定したり、ホッケを大きさごとに並べたり、ホタテの海藻を取ったり。陸で、仕分け作業のお手伝いをする仕事ですね。一か月くらい働かせてもらいました。
ー利尻島が良かった、そこで働きたかったというよりは、働かないといけないタイミングが利尻島にいるときだったという感じですよね。
:そうですね。でも偶然ですが、結果的にすごく良かったです。利尻島にはよそ者を受け入れる文化もありながら、そこまで距離が近すぎる訳でもない。今思えば、島全体にシェアハウスのような雰囲気が漂っていました。
現地の人にたくさん良くしてもらったし……旅全体を通して、人との出会いが一番思い出に残っています。
ー素敵ですね。
:その他、夏の四国の天候が気持ち良くて最高だったり、初めて阿蘇に行ったときのバイクがすごく気持ちよかったり。あとは、北海道の稚内で手と足の感覚がなくなるくらい寒い中、生死の境をさまよいながらバイクを必死で走らせたこととか(笑)。
タイミングをずらしたりお金をもう少し貯めてから出発していたら、また違う旅もできたと思います。でも、自分が持っているお金や時間などを考えると、やっぱりあのタイミングで、あの旅の仕方が最高だったな、と。
実際にその場所に行かないと見れない・感じられないことをたくさん経験できたし、本当に思い出だらけ。挑戦して良かったです。
適度な距離感だからこそ、会話で意外な一面が知れるシェアハウス生活
ー旅も終わって社会人になって、いまはシェアハウスに住み始めている訳ですが、「琴平」のシェアハウスに住み始めてから印象に残っていることはありますか?
:なんだろう……シェアハウスって、意外と適度な距離感で生活ができるんだなという印象です。物件によって違うと思いますが、琴平のシェアハウスは住人同士、ちょうど良い距離感がありますね。
ーそれは他の入居者の方からもよく言われます。みなさん「一緒に住むから距離が近いんじゃないか」と思って入居するけれど、実際はそんなことなくて。普通に交流したいときに交流して、一人になりたいときは一人で過ごしてという距離感ですね。ゆんたく(※)はもうやりましたか?
※…シェアハウスひだまりが提供する住人同士の交流を促進する取り組み。鍋パーティーやたこ焼きパーティーなど、交流目的ならなんでもOK
▶「ひだまりは月一回の『ゆんたく』を推奨してます。」
:やりました! ほどほどの距離感だから、正直「盛り上がるのかな?」と思っていましたが、ゆんたくのときは割とざっくばらんに話せたというか。普段は密にコミュニケーションを取らなくても、一つ屋根の下で空間・時間を共有しているからか、初対面の人と話すときよりもっと深い話ができたことが印象的でした。
ー良いですね。普段はそこまで話す訳ではないからこそ、ゆんたくで知る一面もありますからね。
:そうそう。意外なメンバーが実は一番年下だったり、おもしろい職業を目指していたり。今の住人の中には絵を描くイラストレーターやアニメーターを目指している人がいて、おもしろいなあと。かと思えば、別のメンバーがもう来月には出ていくことが決まっていたり。
いろいろな人が住んでいるし、かといってグイグイ絡む訳でもなく、適度な距離感。おもしろいなと感じます。
おもしろい人たちが、思いやりを持って過ごせるシェアハウスにしたい
ーこれはみなさんに聞いているのですが……シェアホストとしてどんな人に入居してほしいですか?
:おもしろいなと思うのは、海外の人。例えば、北欧の人とか?
ー北欧の人? なぜ?
:言葉も文化も違うからですね。単純に海外の人は日本とはまた違うバックグラウンドを持っているから、今の住人や日本人と混ざるとどうなるのかな? と思います。
特に、私はアメリカ留学の経験があるからアメリカ英語はなんとなくわかりますが、北欧の人はヨーロッパだから、イギリス英語を話しますよね。アメリカ英語とはまたイントネーションが違うのかな? など気になるんです。
私はヨーロッパに行ったことはないし、北欧なんかは今後もなかなか行く機会がなさそうだから、北欧出身の人と話したり交流したりしてみたいです。単純におもしろそう。
ーなるほど。自分がまだ体験していない、知らない領域の人と交流してみたいということですね。
:あとは、何かに挑戦してる人も良いなと思います。挑戦している人って、やっぱりおもしろい人が多いです。聞けば聞くほど個人のおもしろいエピソードが出てくるし、そういう人と一緒に住んだら楽しそうじゃないですか?
ー良いですね。ただ、初めて住むときはハードルが高いと思うんです。それこそ昔のタカノさんみたいに、シェアハウスに興味はあるけれど迷っている学生さんとかもいるはず。そんな方に、入居の後押しとなるメッセージはありますか?
:私はもう、やりたいと思ったことはやらないとムズムズする性格なんで(笑)。
ー確かに、そんな感じはします(笑)
:でも、興味あると感じている人も「シェアハウスに住みたい!」という気持ちが少しでもあるのかなと感じていて。一人暮らしがしたい、一人で過ごしたいという人は、シェアハウスを選択肢に入れないと思うんですよね。
物件を検索したり、シェアハウス生活について調べてみたりしているなら、気になるということ。それなら、一度トライしてみても良いんじゃない? と思います。やってみて合わない、ダメだと思ったら辞めても良いし。
とにかく一回見学だけでもしてみて、挑戦してみたら良いのではないでしょうか。
ーやってみる、大事ですね。
思いやりのある、帰りたくなる場所になれば
ーでは最後に、琴平をどんなシェアハウスにしていきたいですか?
:お互い思い合って過ごせる場所。その中で、仕事から帰ってきたときに家に明かりがついていて、「誰かいるんだ」「早く帰りたい」と思える場所。そういうシェアハウスにできたらうれしいです。
ー良いですね。僕たちひだまりのメンバーが、代表の林田とよく話すのが「気を使うのではなく、思いやるのが大事だ」ということ。微妙なニュアンスだし難しいけれど、共同生活を送る上では大事なことだと思うんです。
入居者の方やシェアホストの方とよく話しますが、タカノさんはその「思いやりのある共同生活」を体現してくれそうです。
:ありがとうございます。そうして挑戦の一つとしてシェアハウスに入居した人が居心地良く過ごせる、そんな場所にしていきたいです。
ータカノさん、ありがとうございました!
まとめ
今回は、ひだまりのシェアハウス「琴平」でシェアホストをするタカノさんにお話をお伺いしました。
「人のために」という家族の教えを大切な価値観として持ち、さらには日本一周をするなど、やりたいことにどんどん挑戦するタカノさん。大学時代に考えたけれど実現しなかったシェアハウス生活にいま挑戦できているのは、「やりたいことをやる」という性格の元、学生時代から社会人までいろいろなことに挑戦し続けてきたからこそ、叶えられた暮らし方なのかもしれません。
海外の人や挑戦する人との交流を望み、お互いを思いやれる居心地の良いシェアハウスを目指す琴平。現在も入居者を募集しています。
気になる方はぜひ一度見学にお越しくださいね。
→ひだまりのシェアハウス「琴平」を見る!