「賃貸マンションの退去にかかる費用の相場って、どのくらいなんだろう……」
と悩む人は多いのではないでしょうか。
賃貸マンションなど一人暮らしの退去費用の相場は、およそ5万〜8万円です。
退去費用は、主に以下3つの観点から決定することが多いです。
・原状回復の義務
・経年劣化
・特約
上記3つは「国土交通省のガイドライン」と「賃貸マンションの契約書」に記載されているもの。事前にしっかりと確認しておくことで、高額請求などのトラブルを防ぐことが可能です。
とはいえ、金額がどのようにして決まるのか、高額な請求をされたときにどうしたら良いのかは、なかなか分かりにくいですよね。
そこで今回は、
・賃貸マンションの退去にかかる費用の相場
・退去費用の決め方
・退去費用が高額なときの対処法
・高額な退去費用を請求されないための対策
・高額すぎて払えないときの対処法
・敷金なしの物件で一人暮らししているときの対処法
・一人暮らしの費用をおさえるためにおすすめの暮らし方
を紹介します。
今回の記事を参考に、一人暮らしの引っ越しにかかる退去費用の相場をつかんでいきましょう!
賃貸マンションやアパートの退去費用、どのくらいかかった?相場は?
一人暮らしをしている賃貸マンションやアパートの退去費用の相場は、平均5万〜8万円です。
部屋の大きさごとに見ると、相場は以下の通りです。
・ワンルーム:1万5,000〜5万円
・1K:5万〜7万円
・1DK:7万〜8万円
・1LDK:8万〜12万円
もしくは、以下のような計算方法もあります。
・修繕費の半額
・例:10万円の工事費用のうち5万円を負担
そもそも退去費用は、部屋を出てから次の人に貸し出すまでの「クリーニング代」「修繕費」に使われることがほとんど。
ハウスクリーニング代は平均3万〜5万円なので、基本的には相場の範囲におさまることが多いです。広い部屋はそのぶん金額が追加されるため、もう少し高いです。
退去費用は主に、入居するときに支払った「敷金」から負担します。敷金の範囲におさまった場合、追加でお金を支払う必要はありません。
敷金は家賃1〜3ヶ月分、つまり5万〜15万円ほど。敷金におさまりそうには感じますよね。
「いますぐ引っ越したい!」と考えている一人暮らしの人は、こちらの記事がおすすめです。契約期間が満たない場合の退去におけるポイントを解説しているので、参考にしてみてください。
退去費用の相場をお伝えしましたが、一人暮らしの退去費用は、部屋を出るときの状態によって変化します。次で詳しく解説しますね。
賃貸マンションの退去費用の決め方
賃貸マンションの退去費用は、基本的に「国土交通省のガイドライン(https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)」をもとに決定します。
国土交通省のガイドラインとは、国土交通省が定めた賃貸借契約における決まりごと。賃貸マンションの入退去でトラブルが多いことから、防止策として作成されました。
そして国土交通省のガイドラインでは、トラブルを防ぐためのチェックポイントとして、以下の2つが定められています。
・原状回復の義務
・経年劣化
また退去費用を決めるときは上記に加えて、マンション独自の「特約」も加わります。
上記3つのワードは普段耳にすることが少ないため、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。
そこで次で、一人暮らしにおける退去費用のチェックポイントである「原状回復の義務」「経年劣化」「特約」を詳しく解説します。
賃貸マンションの退去費用チェックポイント1:原状回復の義務
まず原状回復の義務とは、「入居前のきれいな状態まで戻す義務」のこと。
先ほど退去費用は、私たちが退去した後の「クリーニング代」「修繕費用」として使われるとお伝えしました。賃貸マンションによっては、この2つを「原状回復の費用」と呼ぶことがあります。
原状回復は「部屋を借りたときの状態に戻す」と考えられることが多いです。
しかし、実際は「日常生活において故意・過失で発生した傷や汚れを修復する義務」です。
例えば、以下のようなもの。
【床】
・引っ越し作業のときにできた床の傷
・物を落としてできたフローリングの傷
・飲食物をこぼしたときのフローリングの汚れ
【壁】
・ネジの使用などによる大きすぎる壁の穴
・壁の落書き
・エアコンの水漏れによる壁の腐敗
・タバコのヤニ汚れ
【その他】
・ドアや障子、網戸の破損
・ユニットバスのシールやカラー材汚れの残り
・洗面台など水回りのサビ
これらはあなたが住んでいる間に発生した傷や汚れ。未然に防げる可能性もあります。
またエアコンの水漏れなどは大家さんの負担ですが、放置したのは入居者です。早めの申告で腐敗を防げた可能性があり、発生した時点で入居者の責任なのです。
上記のような注意不足による傷や汚れは、原状回復の義務として修繕費を求められると考えましょう。
こちらは国土交通省のガイドライン(https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)でも定められているため、気になったらチェックするのがおすすめです。
賃貸マンションの退去費用チェックポイント2:経年劣化
一人暮らしの退去費用が決定するとき、「経年劣化(通常損傷)」が大きく関係しています。
経年劣化の傷や汚れは、例えば以下のようなものが当てはまります。
・日光で変色したフローリングの張り替え
・壁にあいた画鋲の小さい穴
・冷蔵庫やテレビなど家電による壁の変色
・家具によるフローリングのへこみ
上記は入居者のあなたではなく、大家さんが同じ部屋で一人暮らしをしていても発生する可能性がありますよね。
つまり、日常生活で発生する自然な傷や汚れは修復する必要がありません。経年劣化によるものと考えられ、大家さんや不動産会社に修理の義務が発生します。
修繕費用は明らかに経年劣化でないもの、故意につけられた傷や汚れに支払うお金と考えましょう。
賃貸マンションの退去費用チェックポイント3:特約
特約とは「賃貸マンションごとに設定している決まりごと」です。
国土交通省のガイドライン以外に大家さんがオリジナルルールを決めており、契約書類と一緒に渡されていることが多いです。
特約は例えば、以下のようなものがあります。
・傷や汚れの修繕費は故意・経年劣化問わず、すべて入居者の負担となります
・修繕する場所がなくてもクリーニング代として一律3万円いただきます
・畳やふすまの張り替えは入居者に負担していただきます
特に注意したいのが「畳」や「ふすま」。日本はもともと和室が多かったことから、退去時に張り替え費用を請求する習慣がありました。
洋室が増えた現在でも、畳やふすまに関する特約を残している大家さんが多いです。もしくは「半額は入居者が負担」と定めていることもあります。
ちなみに、特約は敷金とほとんど関係ありません。また契約書に記載しているだけで、口頭の説明がないのが通常です。
あらかじめ契約書に目を通し、どんな特約があるのか、確認しておきましょう。
納得しにくい項目が記載されていることもあるため、明らかに高額なものは大家さんに質問すると安心です。
賃貸マンションの高額な退去費用を請求されないための対策
ここまでお伝えした退去費用のポイントをふまえて、高額な費用を請求されないための対策を紹介します。
高額な退去費用の請求を避けるには、以下のことを試してみてください。
・「敷金なし」または「敷金が5万円以内」の物件は避ける
・入居するときに契約書の「原状回復特約」を確認しておく
・同じ賃貸マンションになるべく長く住む
・引っ越しまでに自分で部屋を掃除しておく
・高額すぎるときは見積書を発行してもらう
退去費用を決めるとき、国土交通省のガイドラインよりも契約書の「原状回復特約」が優先されます。入居後は撤回できないので、ハンコを押す前にしっかりと確認しておきましょう。
そして最もおすすめの方法は「なるべく同じ賃貸マンションに住み続けること」。実は長く住んでいるほど傷や汚れは「経年劣化によるもの」と考えられ、入居者の負担が少なくなるのです。
入居前から退去のことを考えたうえで、しっかりと対策しましょう。
すでに引っ越しが決まっているときは、部屋を自分で掃除しておくのもおすすめです。詳しくは以下の記事をご一読ください。
請求された賃貸マンションの退去費用が高額に!その理由は?
先ほど高額費用を請求する対策を紹介しましたが、それでも相場より何十万円も高額になるトラブルが発生しています。
法外に請求されていることもありますが、トラブルの多くは以下のような原因があります。
・故意につけた傷や汚れが多かった
・3〜4月など繁忙期で業者のクリーニング代が高騰している
・入居するときに敷金を支払っていなかった、もしくは安かった
3月や9月など卒業や就職、転職シーズンなどは清掃業者も繁忙期。クリーニング代が高い傾向にあります。
安くしたい場合は、退去を6月など引っ越しのオフシーズンにしてみましょう。
また単純に、以下のようなケースも多いです。
・入居前から残っていた傷や汚れの修繕費を請求されている
・そもそも敷金を返金する契約ではなかった
・退去の連絡や手続きが遅れていた
自分の過失によるものもありますが、入居前からある傷や汚れは修繕する必要がありません。その場合は、大家さんにしっかりと主張しましょう。
「敷金なし」の賃貸マンションは退去費用をどうする?払わないのはアリ?
続いては、敷金なしの物件について詳しく解説します。
状況にもよりますが、まず前提としてマンションの退去費用は支払いを拒否することができません。特に「敷金なし」の物件は、修繕費用を自分で用意する必要があります。
というのも「敷金なし」の賃貸マンションに住んでいた場合、そもそも保証金となる敷金を入居時に支払っていません。退去費用は敷金からまかなわれることが多いぶん、敷金なしの物件では退去費用が必ず発生します。
さらに、クリーニング代に加えて消毒代を加算するなど、相場よりも高い費用になることが多いです。
「敷金なし」の物件では、退去費用として10万円以上を請求されることがあり得るのです。
敷金なしの物件に入居したら、最低でも20万円ほどの貯金は用意しておきましょう。
賃貸マンションの退去費用が高いときはシェアハウスもおすすめ
ここまで退去費用について解説しました。しかし中には「クリーニング代として10万円ほど支払うことになった」「敷金なしの物件だったので高額になった」という人も多いかと思います。
その場合、次の引っ越し先は「シェアハウス」を選ぶと出費をおさえられることが多いです。
シェアハウスをおすすめする理由は、以下の3つ。
・シェアハウスは初期費用が10万円以内におさまることが多い
・家具家電が用意されているので新たに購入する必要がない
・家賃が賃貸マンションより安く、生活費を節約できる
シェアハウスの家賃や初期費用は、賃貸マンションほど高額ではありません。物件によりますが、初期費用は10万円以内におさまることが多いです。
賃貸マンションは初期費用だけで40万〜60万円かかるので、とても安く感じるのではないでしょうか。
また家賃も以下のように低価格です。
・ドミトリー(相部屋):2万〜3万円
・個室:5万〜8万円
家賃が賃貸マンションより数万円ほど安いので、毎月の出費もおさえられます。
シェアハウスは引っ越しのときはもちろん、長い目で見ても出費が減らせるはず。生活費をおさえることで、貯金もしやすくなりそうですね。
実際におすすめのシェアハウスについて、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
まとめ 賃貸マンションの退去費用は3つのポイントを押さえれば低価格に
今回は、賃貸マンションやアパートの退去にかかる費用について解説しました。
おさらいすると、退去費用の相場はおよそ5万〜8万円。主に「クリーニング代」と「修繕費」に使用されることが多いです。
退去費用は、以下3つの観点から決定します。
・原状回復の義務
・経年劣化
・特約
また高額な退去費用を避けるポイントとして、以下の5つをお伝えしました。
・「敷金なし」または「敷金が5万円以内」の物件は避ける
・入居するときに契約書の「原状回復特約」を確認しておく
・同じ賃貸マンションになるべく長く住む
・引っ越しまでに自分で掃除しておく
・高額すぎるときは見積書を発行してもらう
基本的に敷金から負担することが多いため、「敷金なし」の賃貸マンションは避けることをおすすめします。
原状回復の義務や特約をチェックしながら、困ったときは国土交通省のガイドラインを参考にしましょう。
また別の賃貸マンションに引っ越しを考えている場合、安くなる時期をねらうのもおすすめです。退去費用はかかっても、新居の初期費用をおさえられることで、総合的な出費は安くなるためです。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。