転勤などで他県に住むことになった場合、思い浮かぶのは「友達がいない」「寂しくなりそう……」といったことではないでしょうか?
他県への異動や転勤をきっかけに、シェアハウスに住む人は多いです。初対面の人同士で住みますが、共同生活を通して仲良くなりやすく、長い付き合いになることもあります。
転勤など知らない土地に引っ越すときにはおすすめの住み方です。
最初は馴染めるか不安も感じますが、大丈夫。物件にもよりますが、ひだまりでは住人に「シェアホスト」をお願いし、各物件での雰囲気作りや困りごとの対応をお願いしています。
今回はシェアホストの人柄や様子を知ってもらうために、熊本・京町のシェアハウスでシェアホストをするゆいさんにインタビューしました。
ゆいさんはもともとシェアハウスの住人でしたが、前シェアホストの卒業と同時に指名を受け、初めてシェアホストになりました。
彼女自身も広島から熊本への転職をきっかけにシェアハウスに住み始めた1人です。シェアホストになったことで、入居当時は気付かなかったシェアハウスの住みやすさや管理人の存在の大きさに気付いたそうです。
いきなり他県でシェアハウスに住んでも馴染めるのか?シェアハウスの空気感はどんな感じなのか?など、気になることをお伺いしました。
広告系のライターとして活躍する広島出身のゆいさん
ーまず自己紹介をお願いします。
:ゆいです。熊本の京町に転職をきっかけに住み始めて、現在1年半ぐらい。出身は広島で、熊本の会社でライターとして働いています。熊本に引っ越すまではずっと広島に住んでいて、初めて県外に出ました。
ーWebライターは今何年目ですか?
:2年半ぐらいです。広島に住んでいたときに始めました。
ーライティングといってもさまざまな種類がありますが、ゆいさんはどういう文章を書いているんですか?
:ざっくりですが、Webライティングは主に何かを検索したときに出てくるSEO記事、ひだまりのシェアホストへのインタビューのような取材記事、そして広告(アド)の短いテキストや商品のキャッチコピーを考えるセールスライティングというような種類があります。私はセールスライティングの要素が強い広告のテキストを担当しています。
ー広告を作っている?
:そんな感じですね。広告は簡単に言うと商品やサービスを購入してもらうために作るもの。そこに載せる文章も「どうやったらこの商品・サービスが売れるか」ということを考えながら作る必要があり、分析や試行錯誤を楽しみながら働いています。
ーライターさんって世の中に存在はしているけれど、出会う機会は少ないので「そうなんだ!」と初めて知ることが多いです。
:ライターといってもいろいろな種類の方がいますよね。広告系のライターになる前も少しライティングの経験はあったのですが、書いていたのがWeb上に載っている記事で、さらに「何をどういう順番で書くか」という大枠(構成)は決まっている記事を担当していました。記事の枠組みは編集者が考えて、その中身を私たちライターが埋めていく。
ーうんうん。
:広島で働いていたときは本当に「これ書いて」と言われてバーッと書くスタイルだったのですが、熊本で広告系のライターとして勤め始めてからは、構成からじっくり考える業務になりました。現在の内容が自分にとってはすごくおもしろいです。
好きなものは服! 高校卒業と同時にアパレル販売員に
ー社会人になってから、ずっとライターですか?
:いえ、社会人のスタートはアパレル販売員です。高校卒業と同時に販売職として就職し、4年ほど働いていました。その後他の仕事も挟んで今の会社。
ーなぜアパレル販売員に?
:もともと服が好きで、学生時代はよく友達と買い物に行っておしゃれを楽しんでいたからですね。
ー今も洋服は好きですか?
:好きは好きですけれど、少し落ち着いてきました。「かわいい!」「ほしい!」と衝動的に服を買うことが少なくなり、「長く使えるものを」と吟味して買うようになりました。買い物も最近はネットがほとんどですね。
ー便利ですからね。
:でも好きは好きだから、YouTubeにあるLookBookの動画はよく見ますよ。モデルさんとかお洋服屋さんとか、その季節の服を使ってコーディネートを組む動画。紹介を見て、良いのがあれば買う。
ーやっぱり洋服は好きですね。テンションも上がります。
コロナをきっかけにライターに。’’売れる’’文章を考えるのが楽しい
ー広島のときから合わせると、ライター歴は2年半くらいですよね。
:はい、そうです。最初の1年は先ほど話したWeb上の記事、直近の1年半は広告系のライターと種類は変わっていますが、あわせて2年半ですね。
ーそもそもどうやってライターにたどり着いたんですか?
:コロナで「在宅でも可能な仕事をしたい!」と思ったのがきっかけです。
アパレル販売員を辞めた後、工場で働いていたんです。接客が苦手だったから対面ではない仕事に魅力を感じたのと、お給料が良さそうだなと思って(笑)
ー確かに、工場は接客がないですね(笑)
:それで2020年から工場で働き始めたのですが、ちょうどコロナによる外出制限と重なって。蔓延し始めた当初は特に、外出や人との接触に厳しかったじゃないですか。
ー制限はかなりありました。
:工場は人が足りなくなってライン作業が止まると仕事にならないため、どうしても欠勤やクラスターの発生、濃厚接触者と認定されたことによる外出制限を避けなければならなかった。私が勤めていた会社は特に厳しくて「病院に行くのであれば有休と組み合わせて、2週間は出勤禁止」とか「美容院など人と接触する場所に出かける場合も2週間は休もう」というルールがありました。
在宅で働けるポジションの人は家でも勤務できますけれど、私は工場で働くポジションだったから、どこかに出かけるには有休を使って休まないといけなくて。
ー出勤しないとできない業務ですもんね。
:しかも2週間となると月の半分なのでお給料は減るし、自分たちの有休もどんどん減って使えなくなってしまう。「このご時世きついなあ」と感じて。
ー確かに、それは大変。
:そのときに「在宅勤務できる仕事であれば働き方も自由に選べるのかな」「パソコンできたほうが良いよな」と思い付いて。工場勤務も嫌な訳ではなかったけれど、年数を重ねて飽き始めていたのもあって「在宅でできる仕事を見つけよう!」と決めました。
ーそれでWebライターに?
:いえ、最初はWebデザインを始めました。
ーデザインから始めたんですね。Web未経験からデザインを始めたのは大変ではありませんでしたか?
:大変でした(笑)。Webデザインはスキルを身に付けるのも大変ですが、その後仕事を取るのが苦労するんです。
ー営業に?
:まず応募条件が「1年以上のデザイン経験があること」。副業でも正社員としての転職でもこの条件を設けている求人が多く、条件面で弾かれてしまう。だから仕事をなかなか取れませんでした。
ーハードルが高いですね……。
:そうやって悩んでいたときにたどり着いたのが、Webライティング。
ライティングだってもちろん技術が必要ですが、文章を書くというのは別の仕事や学生時代にも、誰もが経験のあること。ゼロから始めるデザインよりはハードルが低い、仕事もデザインよりは取りやすいかもと感じ、ライターとして働くことを決めました。そこで入社したのが広島で働いていた会社です。
ーデザインの営業は大変だったけれど、それがきっかけでライターにたどり着いたんですね。
:最初からライターを志望して働いている人もたくさんいますが、私のように「ライターになりたい!」というより、タイミングや流れでたどり着いた人もいると思います。でも、だからこそ続いているのかもしれません。
シェアハウス入居の理由はいろいろなところに住みたかった
ー続いてシェアハウス生活のことをお伺いします。ひだまりの物件を見つけたのは検索ですか?
:ひだまりは検索で見つけました。友達にシェアハウスに住んでいる子がいたんです。ひだまりとは違う会社ですが、その共同生活の話を聞いて興味を持ちました。
ー友達はどういう経緯でシェアハウスに住んでいたんですか?
:好奇心旺盛でチャレンジ精神があり、リゾートバイトをしながら全国点々としている子なんです。地方に数ヶ月働きながら滞在して、また次の場所に行く。
そういう働き方をしていると、2年契約の縛りがある賃貸マンションはもったいないじゃないですか。だから入居しやすい、短期契約ができる上に家賃も安いシェアハウスに住んでいるみたいです。
ーその子は短期でも入居できる、すぐ生活できる点に魅力を感じたんですかね?
:それだけではなく、交友関係が広がることも良いと言っていました。シェアハウス自体が初対面の人と住むという特徴がありますが、その子は特にいろいろな地域を訪れているから出会いの数も多い。その話を聞いて、私も「確かに友達ができるのは良いな」と思いました。
ーゆいさんは特に、広島から熊本への引っ越しもありましたもんね。熊本に友達はいたんですか?
:いませんでした。だからまさに「熊本に友達いないし……」と転職のときにその話を思い出して検索して、ひだまりにたどり着きました。
ー初めて広島を出てどうでしたか?すぐ慣れた?
:もともと広島に飽き始めていたというか、もう出たいと思っていたんです(笑)。だからホームシックのような、広島が恋しいという気持ちはあんまり。
ーゆいさんは結構飽き性ですか?(笑) ライターになったときも工場の仕事に飽きたこともありましたよね。
:そうかもしれない(笑)。いろいろなところに行ってみたいという気持ちも強くて、住む場所は点々としてみたいですね。
ー熊本もゆくゆくは引っ越す?
:どうだろう……。実は転職するとき「軽く働いてみてダメだったら別の場所に行こう」「そのときはまた考えよう」くらいのテンションだったのに、今の会社や仕事にすっかりハマっちゃって(笑)。どこかに行きたかったのに、どうしよう……と考えています(笑)。
ー今は仕事が楽しいんですね。
:ライターの仕事をするまで、正直に言うと「上を目指したい」という気持ちがあまりありませんでした。でも広告系のライターになってから、もっと上を目指したいという気持ちが自然と湧き出たところはあります。
ーどういうところが楽しいですか?
:自分の文章が売上に関係するところ。アパレルも売上を伸ばすという目標を持って働いていましたが、やっぱり接客が苦手。
対して広告系のライターは、売上を取ることも必要だけれど、接客はない。むしろ「対面の接客をせずにいかに売上を伸ばせるか」を考えないといけない。自分は売上がベースにある会話やコミュニケーションが苦手だっただけで、数字を取るために分析することは好きだったんだなとも気付きました。
ー方法が違うだけで、目的は一緒ですもんね。自分に合うやり方で取り組むのは大事です。
:それにハマっちゃったがゆえに、動けないんですけどね(笑)。しばらくは熊本で今の仕事を頑張ります。だから、しばらく京町ハウスにもお世話になります(笑)。
指名でシェアホストに。この過ごしやすい空気を受け継ぎたい
ーシェアハウスに住むのはひだまりが初めてですよね。実際に京町に住んで、どんな印象でしたか?
:最初はすごく不安でした。「メンバーの子たちとうまくいくかな」「馴染めるかな」とかいろいろ考えていて。入居前はドキドキしていました。
ーでも今は馴染んでいますよね。意外です。
:入居したときに一緒に住んでいたシェアホストの方(えいこさん)がすごく気を遣う人だったことが大きいです。もともとコミュニケーション能力が高くて人たらしのような、話しやすい人なのですが、住人が住みやすいように壁を作らずに接してくれていました。だから初対面でも話しやすくて、えいこさんのおかげですぐに馴染めました。
ー馴染みやすい空気があったんですね。
:最初は不安だったけれど、おかげですぐになくなりました。「そんなこと考えていたっけ?」と思うくらい(笑)。京町は最大で5人、女性専用と馴染みやすい条件もあると思いますが、居心地の良い空間をしっかり作ってくれたことは大きい。シェアメイトとは、今は掛け合いができるくらい仲が良いです!
ー前のシェアホスト・えいこさんがご結婚と同時にシェアハウスを卒業して、次に指名されたのがゆいさんなんですよね。僕らは「えいこさんの指名なら問題ないだろう」と感じていましたが、お願いされたときはどう思いましたか?
:まずえいこさんが結婚されて「いつかシェアハウスを出るんだろうな」とは感じていました。次は誰が管理人になるんだろうとは考えていたのですが、てっきり新しい人が入るもんだと思っていました。
ーえ! じゃあ「もしかしたら自分が……」とか、微塵も思っていなかった?
:はい、思っていませんでした。指名されて「私か!」と驚いたくらい(笑)。でもえいこさんから「ゆいが良いと思うから」と言ってもらえて、素直にうれしかった。
ー不安はありませんでしたか?
:ありましたよ! えいこさんが作った京町の雰囲気や接し方を私ができるのか?と、少し不安になりました。私、えいこさんみたいに人たらしなタイプではないし……(笑)。
ーそんなに?(笑)
:その点は不安で(笑)。でもこの雰囲気は引き継いでいきたいな、そこは頑張りたいなと思い、指名してもらえたならやってみようと前向きに引き受けました。
入居者は10〜50代! 世代の違う女子同士で何でも相談できるシェアハウスを
ー先ほどの「前のシェアホストの作った雰囲気を受け継ぎたい」という話がありましたが、具体的にどういうシェアハウスにしていきたいですか?
:管理人をお願いされるまで、私はえいこさんが作り上げた雰囲気の良さをあまり気にしたことがなかったんです。でも管理人になって初めて「あれは意識して作られたものだったんだ」と気付きました。その空気のおかげで過ごしやすさを感じられていたから、私も管理人として「みんなが過ごしやすい雰囲気」を作りたいなと思っています。
ーゆいさんのように、初めてシェアハウスに住む人にとってはその雰囲気がありがたいですよね。
:あと気になることはどんどん言えるようにしたい。京町は女性専用なので、特に防犯面は気にしたいし、管理人の私は気を配らないといけないと考えています。
気になることがあったときに「あそこの鍵が……」「ここのセキュリティって……」と話せる空気を作って、対処できるような。みんなが安全に、居心地良く生活できるシェアハウスを作りたいですね。
ー京町は時期にもよりますが、入居者の年齢が下は10代、上は50代と幅広い。価値観の異なる世代が住むから気になることもありそうだし、大事ですよね。
ーでは最後に、シェアハウスにどんな人が入居してほしいですか?
:いろいろありますが、共同生活に協力的な人です。シェアハウスに住んでたくさんの人と出会って思うのは、みんなで住むからこそ他人に配慮したり率先して動いたり、協力し合える人が過ごしやすい空気の一端になっているのかな、と。お互いが協力し合うと良い空気も生まれるので、そうやって’’過ごしやすい’’シェアハウスを一緒に作ってもらえるとうれしいです。
ーお互いが協力的な姿勢を見せることも、空気感につながりますね。ゆいさんなら大丈夫だと思います。本日はありがとうございました!
連鎖するシェアハウスのあたたかい空気を熊本で守り続ける
今回は熊本にある女性専用シェアハウス・京町のシェアホストを務めるゆいさんにお話を聞きました。
ゆいさんは前シェアホストのえいこさんから「ギャルっぽい子」と言われていたそうですが、話し方や雰囲気は大人っぽく、自分の意見や意志をしっかりと持っている印象を受けました。
特に接客が嫌と言いながらアパレルの仕事を4年も続けたり、コロナをきっかけに始めたライターの仕事にハマって頑張っていたり、任せられたことはしっかりと遂行する責任感を持ち合わせているんだろうなと感じました。
だからこそ前シェアホストのえいこさんもゆいさんを推薦し、安心して任せられたのかもしれません。そしてその気持ちを受け継いで「えいこさんが作った過ごしやすい雰囲気を守り続けたい」と、しっかりとバトンを受け取っていました。
こうしてお互いの気持ちや人柄に配慮してコミュニケーションを取るからこそ、世代の異なるメンバーでも仲良く過ごせるシェアハウスになっているのでしょう。
京町のシェアハウスは5人と少人数のため、埋まるのも早いですが、空き部屋があれば見学を受け付けています。気になる方はこちらのページをご覧ください。